昨日はお休みを頂いて美幌や北見まで行ってきました(^^

おかげさまでリフレッシュ出来たので、今朝は6時過ぎからガッツリMOIっと働いております(^^


さて、道中ず~っとモヤモヤしていたんです。
下町ボブスレーのこと。

下町ボブスレーの件に関してはいろいろな報道やツイート、FBでの書き込みなどがありますので、皆さん概要はご存知だと思います。

ご存じなければググってくださいね(笑)





下町ボブスレー、今叩かれていることもですが、そもそもジャマイカチームに不採用になるボブスレーしか作れなかった最大の原因は、「自分らの技術の慢心から来る専業でやっている人たちへの技術のリスペクトの無さが全て」では無いかと考えています。

私の実体験としても、異業種からの参入って新しい考え方や技術を取り入れることが出来るというメリットはありますが、本業を辞めて参入するくらいの意気込みでないと不可能なのです。

ここをご覧になる皆様はご存知だと思いますが、私自身全くの異業種(それも某レコード会社と言う)からこのゴルフ業界に入ってきました。
違う業種から入ってくるとその業種での常識とされている考え方に疑問を持つことも多いです。
私の場合はスイングバランスをはじめとする様々なゴルフクラブ業界の常識に疑問を持つこととなりました。
ちなみにスイングバランス以外で言うとヘッド重量の公差などですね。
270gとかのアイアンヘッドで、プラスマイナス1gとかで「精度が高い!!」というようなところがありますが、それって誤差が0.74%となります(269~271なので2gの誤差)。
これって工業製品の世界では全然ダメなレベル(=その会社の部品は絶対に使わないレベル)だと言えますしね。

話がそれましたが、ボブスレーに戻ります。

下町ボブスレーもおそらく同じように思ったのだと考えます。

ニュースマスターズTOKYOのタケさんとの対談でも他のボブスレーを見て「こんなもんか」と思ったとおっしゃっているようですし。


私が感じたモヤモヤというのは実はこの部分で、私自身も実体験として経験してきていることなのですが、「こんなもんか」と思うのは実はよろしくないのです。

本業の人が作ったものを見て「こんなもんか」と思っていると、その技術の根本の部分は見つけられないんです。

モノ作りをしていて感じるのですが、”こんなもん”になるまでの過程で技術者や製作者は必ず何かしらの意図で”こんなもの”になるように作っています。
その理由を突き詰め、キチンと技術者や製作者の意図を理解した上で「こんなもん」と言うのは構わないのですが、単に精度が悪かったりするだけで「こんなもんか」と思うのはよろしくないんですね。

その精度の悪さももしかしたら技術者や製作者の意図があるのかもしれませんから。

そうした意図を汲み取り理解すること無く単に「こんなものか」と言っていたのであれば(見てすぐにこんなものかと言っているように読み取れます)、それは先に始めた技術者たちに対しての敬意が感じられません。
先に始めた技術者はボブスレーを作ることで生計を立て収入を得ているのでどこの国であっても懸命にボブスレーを作っていることに間違いは無いと言えます。

下町ボブスレーの皆さんが本業の製造業で作ったものを、異業種の人が見てすぐに「こんなものか」と言ったらおそらく激怒するでしょう。

ご自身が言われて激怒することを言ってしまったとしたら(本当に見てすぐに「こんなものか」と言ってしまったとしたら)、やはり先人に対してのリスペクトが無いと言わざるを得ませんね。

ここはゴルフのブログですので、これを私の本業でもあるMOIマッチングに置き換えてお話をしましょう。
私の組み上げたクラブは自信を持って良いクラブであると思っていますが、他のクラフトマンが私の組んだクラブを見てもほぼ全てのクラフトマンが「多少は綺麗に組まれてはいるけど、別にたいした組み方をされているわけではないし、こんなものか」と思うでしょう。

ですが同時に「なぜ普通に組まれただけのクラブがこんなに評判が良いのだろう?」と思うはずです。

この部分が下町ボブスレーからは見えて来ないんです。


クラブMOIマッチングは別に組み上げ方に特殊な方法を用いているわけでも無く、普通に真面目に組み上げているだけです。
ただ、組み上げに際してはクラブMOIに着目し、お客様おひとりおひとりによって違う適正なクラブMOIで組み上げています。

ですので、たとえお客様ご自身が見ても、クラフトマンが見ても、見ただけでは多少綺麗に組み上げられているだけで、組み上げに至るMOIの理論と組み上げ時に必要な0.1mm、0.01gの努力は組み上げられた後に見ても分かりません。

ですので、いくらMOIマッチングの技術を盗もうとしても組み上がったクラブからは絶対に分からないですし、バラして精密に測定しても(リバースエンジニアリングしても)どうして0.1mmシャフトを削ったのかは分かりません(それ以前に組み上げるときを見ていないので、0.1mm削ったことすら分かりませんよね)。

こうした見えない部分、計測できない部分の理論や方法、考え方を含むその結果(ボブスレーそのものであったりゴルフクラブであったり)に至る経緯と言うものは分解したり測定しただけでは分かりません。ましてや見ても分かるはずも無い。

ですが、「見た目ではわからないけど、何故評判が良いのだろう?」とか「見た目や計測ではわからないけど何故速いんだろう?」と言った疑問を持たないといけません。
そしてそう思うこと自体が、それを作った技術者や製作者に対してのリスペクトでもあるんです。



下町ボブスレーの今までの報道やら公式ツイート等を見ると、今までずっとボブスレーを作ってきた人達に対するリスペクトが感じにくいんです。

先人の考え方や技術に対してリスペクトしていないということは、自分自身の技術力を過信している事となります。
誤解しないで頂きたいのですが、下町ボブスレーの皆さんの技術力は凄いと思っています。
ですが、技術が凄いのはあくまでも本業での技術。
新参者、しかも異業種からの参入ですから、本業の技術力がいくら凄くともそのままでボブスレーの全てに通ずると思っていたらそれは過信でしかありません。

下町ボブスレーのそれぞれの本業にラトビアのボブスレーメーカーが片手間で参入してきても敵じゃないのと同じです。

だからこそ本業を辞めて参入するくらいの意気込みが必要なんです。



下町ボブスレーの皆さんは。そうして自分の技術を過信し、先人たちの技術に対し「大したこと無い」と思ってしまうという、私自身もゴルフクラブ作りに参入した時と同じ間違いをされているのではないかと思います。

もちろん本業としてやっている人でも技術のある方と無い方は居ます。
ですが本業としてやられている以上は、どこかに必ず本業でやっていけるだけの事はあるはずです。

下町ボブスレーの皆さん、まずはそうした良い点を見つけることからやってはいかがでしょうか?

まぁ、それが口先だけという場合もあるでしょうが、だったらその口先を学ぶことで今回のように多くの人から叩かれることは無くなると思いますよ(^^;;←私もいろいろと注意しないと・・・・。





ちなみに・・・。
私の場合は本業であるサラリーマンを辞めただけでなく、横須賀にある持ち家に妻を残してこの弟子屈という摩周湖や屈斜路湖のあるところに2,000坪近い土地を購入して引っ越してきました。

住所に”原野”という地名が入る、正真正銘の超ド田舎です。
最寄り駅までは歩いて2時間くらい、最も近いコンビニも歩いたら1時間半はかかるでしょう。
もちろんバスも通っていませんし、冬はマイナス20度以下まで冷え込むこともありますから、冬のあいだは歩いてコンビニに行ったらおそらく死にます。

なぜこのような超ド田舎に単身赴任してきたかというと、冬以外のここは全英オープンゴルフの開催されるスコットランドに日本で一番近い気候なんです。
ボブスレーもそうですが、ゴルフも自然を相手に戦うスポーツです。
ですから、スコットランドと同じ気候でなければ同じ芝であっても同じ芝質には育ちません。

ボブスレーもそうですよね?
大田区で水を凍らせて雪を作っても、平昌と同じ雪質にはならないですし。

なのでここ弟子屈の原野(牧草地にはなっていますが)を2,000坪購入し、弟子屈のゴルフ場で働くことで芝の勉強もさせていただいた上で、その2000坪を全英のコースで使われている芝と同じにすることからのスタートなんです。

そうした全英オープンで勝てるゴルフクラブを作りたいということ”だけ”でここに引っ越してきましたし、芝を育てるための整地をすることからのスタートです。

ですので下町ボブスレーの皆さんのように「いつまでにオリンピックで!」と言うものは無く、一生かかってでもこの土地で全英オープンに勝てるゴルフクラブを作るつもりです。


もちろんゴルフはボブスレーよりも市場規模は大きく、大手企業はもちろん中小の企業も数多く本業としてやっています。
そうした先達の多さはボブスレーの比ではありませんから、「ボブスレーならイケるかも」と言った考えも持ち合わせてはいません。
ましてやそれらの作業をほとんど私一人でやっていますから、大手企業はもちろんのこと、中小の企業であってもそう簡単に同じ土俵に登らせてはもらえません。

そう簡単なものでは無いことは100も承知です。

ですが、私が死ぬまでには絶対に全英オープンに勝てるクラブを作ります。
そうすることで、MOIマッチングという私達が行っているチューニング方法がゴルファーの多くに認められ認知されていくことと思うんです。

そして私が死んだ10年後20年後にゴルフをする皆さんの間で、「そーいえば今のクラブがこんなに打ちやすいのはファルコンというハゲのおかげなんだよね?」と言っていただけることを信じています(^^


まぁ、下町ボブスレーの方々は日々の仕事も従業員さんの生活もありますから、ここまでの覚悟でとは申しませんが、私と同じような覚悟でボブスレーを作っている製作者もいるとおMOIます。

少なくともそういった方々に対して敬意を払って頂きたいと考えています。

全然Disるつもりは無いんですよ(^^

むしろ応援しているので、是非考えを変え、下町ボブスレーでオリンピックに勝てるよう、皆さん頑張ってくださいね!!