さて、今回はHAYABUSA Ironのソールのお話なのですが、その前に、HAYABUSAウェッジのソールのお話をもう一度して置かなければなりません(^^;;


HAYABUSAウェッジのヌケの良さはソール形状にあります。


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HAYABUSAウェッジのソールイメージ(トレースしただけですが)

HAYABUSAウェッジのソールは玉子を半分に切った形をしています。

これは今までのウェッジが面を多く取ることでの滑りを良くしてヌケを良くしていくのに対して、丸くすることで接地する面積を極限まで落とすことでヌケを良くするという考え方をしているから。

どちらが良いとか悪いとかの問題ではなく、単に考え方が違うということですね(^^


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こちらがHAYABUSA Ironの7番相当のソール

HAYABUSAIronも基本的に同じような全体的に丸みを帯びたソールにしています。

このことでHAYABUSAウェッジ並の抜群のヌケの良さを実現・・・してはいません。

ヌケに関しては、他のアイアンなどから比べるともちろん良いのですが、HAYABUSAウェッジのヌケを一度味わってしまうとIronのほうは「え?こんなん?」と感じてしまうほどです。




HAYABUSAウェッジのロフトはウェッジですから48度から58度と寝ています。このことで長い芝でもフェースに直接当たることは少ないです。
イメージとしてはロフト0度のフェースとロフト90度のフェースだったら分かりやすいかと思いますが、同じフェース面積だとしたらロフト0度のフェースは全部の芝がフェースに当たって抵抗となるのに対して、ロフト90度のフェースはフェースの厚さの部分にしか芝は当たりません。

ロフトが立っているアイアンは同じソールだったとしてもウェッジよりも芝が多く当たるため、芝の抵抗が多いことになりますから。



正直、このことに気付いたのはHAYABUSA Ironの初期の試作を作って、実際に根室GCのとんでもないラフで打ってみるまで気付きませんでした。

ちょっと考えれば分かりそうなものですが、逆に言うとそれほどまでにHAYABUSAウェッジのヌケが良かったのでアイアンでも同じだろうと思っていたのが敗因です。


ではアイアンにこのファルコンソール(命名:こんちゃん(元祖蝶ネクタイプロ)は意味が無いものかと言うとそうではありません。
ファルコンソールにすることで、今までのアイアンではなし得なかった大きな問題を解決出来たのです。



ちょっと引っ張らせてくださいね(^^;;






その問題とは、フライヤーです。

フライヤーはどういったメカニズムで起こるかというと、フェース面に芝が挟まれた状態でボールインパクトを迎えることによって起こります。
フェース面に芝が挟まれるとスコアラインが機能せず、バックスピン量が減り、フライヤーが起こる訳です。


一般的なアイアンの場合は、リーディングエッジが鋭角になっていますので、リーディングエッジによって切り取られた芝がフェースに乗ったままボールインパクトを迎えますのでボールとフェースの間に芝が挟まれフライヤーが起こります。

一方でHAYABUSAウェッジやHAYABUSA Ironの場合では、リーディングエッジのエッジが立っておらず、芝が切り取られる度合いが非常に少なくなっています。
(100%完全に切り取られない訳ではありません)

芝は殆ど切り取られず、且つソールがまんまるですから芝はソールの下をするりとすり抜けます。

結果、フェースとボールの間に芝が挟まれることは殆ど無いためHAYABUSA Ironではフライヤーが殆ど起きず、フェアウェイから打った球と同様のバックスピンがかかる。ということになります。


昨年の秋にプロの試打を通じて行ったテストでも、鬼ラフと言われる程度のラフからはフライヤーは起きず、フェアウェイから普通に打ったときとほぼ同じ飛距離が出ることが確認されています。


フライヤーが起きないということは実はとんでもないメリットなんです。
プロゴルファーでもフライヤーによってどの程度飛びすぎてしまうかはなかなか予測不可能ですので、普通に打って飛び過ぎたり、逆に加減して打って手前に落ちてしまったりする場合が多々あります。

そのフライヤーが殆ど無くなるということは、ラフからでも距離の計算が出来ますから。
フライヤーってプロだけのものではもちろんありません。ほとんどのアマチュアは飛ぶと嬉しいので、通常150ヤードの飛距離のはずの番手で、フライヤーによって170ヤード飛んじゃったとしても「俺ってハードヒッター(^^」と思ってしまいがちです。
なのでプロだけでなく、普通のアマチュアにとっても(飛距離の階段を作るべきアイアンにおいては)フライヤーは大きな敵となります。


何年か後にトーナメントの中継でT張さんが偉そうに、「これはフライヤーですねぇ・・・」なんて言うこともなくなるかもしれませんし、もしT張さんがそんな事言ったら、「とっくの昔にHAYABUSA Ironでフライヤー問題は解決済みでしょ!?」とT張さん以上に偉そうに言ってやりましょう(笑)


HAYABUSA Ironの開発では、様々な性能を詰め込んでファルコンのクラブ設計の集大成的なものにしたいと考えてきました。
HAYABUSAウェッジの時もそうでしたが、現状考えうる最高のクラブが出来たと感じています。

まだ細かい部分での修正はありますし、ロゴの刻印を作ったり、ロフト表示の刻印も作らなくてはいけませんが、性能的にもその他の部分でも、良いものが作れたのではないかと自負しております。