PINGもヤマハも他のメーカーも、最近では高MOIを謳っていて、実際の売上も好調のようです。

ここで言う高MOIのMOIはヘッド左右MOIで5900g-c㎡を上限とするMOIのことで、一昔前にナイキの四角いドライバーで流行ったMOIです。

ヘッド左右MOI

大ヒットしたドライバーですので、ポカーンと言う音を練習場でもラウンドでもご記憶の方は多いのではないかと。

ヘッド左右のMOIがどんなことに有効かというお話はこのブログの本旨では無いので、結論を書いた後にご説明します。

という事でまず結論から(^^;;



クラブメーカーは5,000~5,900g-c㎡のヘッド左右MOIのことは重視するのに、その約500倍、2,800,000g-c㎡もあるクラブMOIをほとんど考えていません。
このことは「木を見て森を見ず」どころか「1本の芝の芽を見てコース全体を見ない」ようなものです。
クラブメーカーやクラブフィッターはもちろんですが、ゴルファー自身もそのことに気付いて欲しいですし、いい加減気づかないといけない時期に来ているのではないでしょうか?



※クラブMOIで私達が使っている単位はkg-c㎡です。今回はヘッド左右MOIとの比較のため1000倍の「グラム-c㎡」で書きました。

こんなにも差があるのにメーカーは小さい方ばかりに注目し、500倍も大きいクラブMOIに対してはほとんど考えていないのはおかしいです。
逆に言えば、そこまで大きい単位であるクラブMOIマッチングだからこそ、その効果は絶大であると言う証明でもありますが・・・。

メーカーの皆さん、森を見る方法、いつでもお教えしますよ(^^




という事で結論をお話しましたので、ヘッド左右MOIに関してご説明。

ヘッド左右MOIが大きいとヘッドの左右にボールがミスヒットした際に当たり負けをせずにボールを押してくれる高効果があります。

ヘッド左右MOI
左右のミスヒットの例です。

トゥ側に当たるとヘッドが開く方向に回転し、プッシュスライスの球筋になりやすく、ヒール側に当たるとヘッドが閉じる方向に回転して、プルフックの球筋になりやすいです。
(フェースの下めに当たるのと上めに当たる場合はそれぞれ90度変えて考えてください)

それを抑制するためにバルジとロールがあるのですが、パーシモンの時ほどバルジにもロールにもボールの軌道を修正する効果はありません。

バルジにもロールにも軌道修正の効果は無いことをメーカーは分かっていますので、ヘッド左右(ヘッド上下)MOIを高くすることで、スパイダーパターのようにミスヒットしてもまっすぐボールを押し出せるようにしています。

一見良いことばかりに見えるヘッド左右MOIの高MOI化ですが、メリットがあると必ずデメリットも出てきます。

ナイキの四角いドライバーの時を思い出してください。
アベレージゴルファーが「パコーン!」と大きい音をさせてボールが飛んでいった方向は、全て右に一直線だったことを。

物理的に考えて、ヘッド左右MOIが高い=ネック軸回りMOIが高い=ヘッドが返りにくいということです。
しかもクラブMOI自体も高くなりがちなので、振り遅れてフェースがスクエアに返る前にインパクトを迎えます。


そのためこのようなヘッド左右MOIが高いクラブは、フェースローテーションをあまりせずにスイングできる方で高いクラブMOIにも対応できる向けです。
そうしたスイングが出来る方に対しては優しいクラブと言えますが、フェースローテーションを積極的に利用したスイングの方はこのようなクラブの優しさの恩恵は受けられず、逆に難しくなるんです。