一時期、発泡剤チューンと言う言葉が流行って、多くの工房で発泡剤の充填を行っていました。

当時は「発泡剤チューン」と言う事で、消音効果だけで無く、飛距離アップも謳っている工房も見受けられました。

現在では発泡剤「チューン」という言いかたはあまり見なくなりましたが、それでも消音(特に高い音)の消音には使われているようです。

そうした消音効果を狙っての発泡剤充填には問題は無いのですが、ここで発泡剤そのものに関して、考えてみたいと思います。

まず、ゴルフクラブで使われる発泡剤はエクスパンセルというモノが使われることが多いですが、エクスパンセルはゴルフクラブ専用に作られたモノではなく、エクスパンセルの製造元である日本フィライトによると、

Expancelの効果
軽量化、嵩増し、ノンスリップ、意匠性や表面改質(艶消し、マット調仕上げ)、遮熱・断熱、結露防止、多孔質化、衝撃吸収、弾力性向上、揺変性、疎水性、収縮防止、空隙充填材、切削性・研磨性向上、剥離、音響改善、凍害防止など

となっています。
音響改善を太文字にしたのは消音効果の改善にメーカーも効果有りと謳っていることからです。

これらの効果を必要とするものに関してエクスパンセルは非常に効果的であり、ゴルフクラブの甲高い音を改善するには非常に効果的です。

メーカーのHPを見ると、こうした使用方法がありますと言う形で写真も載っているので、その写真をご覧頂きたいのですが、緩衝材(2枚目)や靴底などに広く使われています。


 Expancelマイクロスフェア―を使った熱可塑性樹脂の使用例

よく効果を見て頂くと「衝撃吸収」という効果もあり、靴底に使われるくらいですから、クッションとしての効果もかなりのものです。

これを読む皆さんはゴルフクラブに強い興味をお持ちですから、反発係数(COE)と言うワードもご存じでしょう。
反発係数ギリギリを狙ってゴルフクラブは開発されますが、発泡剤によって衝撃吸収したら反発力は弱くなります。

つまり、発泡剤の充填で”チューン”=飛距離が伸びる。と言う事は有り得ず、逆に衝撃吸収の効果から飛距離は落ちます。
但し、どのくらい落ちるかは知る由もありません(笑)
飛距離が落ちる事が分かっていれば、やらなければ良いだけで、わざわざ検証する必要はありませんから(笑)

もちろん飛距離ダウンしますので、BoseIronFactoryでは発泡剤の充填は行っておりません。
飛距離ダウンしても甲高い音を何とかしたいと言うお客様がいれば別ですが、ナイキの四角いドライバーを使っている方も今ではほぼ居ないでしょうし。

ゴルフクラブに於けるもうひとつの大切な要素である、方向性に関してはエクスパンセルの効果からは全く関係無いですけどね(^^;;