ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 プロや一般アマチュアのクラブMOIマッチングやクラブの設計・開発だけで無く、日本クラブMOIマッチング機構(JCMO)の会長でグランドマスター(最上位)として数多くのクラフトマンに対して指導・育成を行っています。 最近はnoteに書く事が多いのでこちらのブログはあまり更新をしておりませんのでご了承ください。 noteは https://note.com/falconmatsubara インスタはhttps://www.instagram.com/falcon_matsubara/ インスタは英語での発信が主です。

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。
プロや一般アマチュアのクラブMOIマッチングやクラブの設計・開発だけで無く、日本クラブMOIマッチング機構(JCMO)の会長でグランドマスター(最上位)として数多くのクラフトマンに対して指導・育成を行っています。

最近はnoteに書く事が多いのでこちらのブログはあまり更新をしておりませんのでご了承ください。
noteは
https://note.com/falconmatsubara
インスタはhttps://www.instagram.com/falcon_matsubara/
インスタは英語での発信が主です。

ファルコンです。
今回は現在開発を進めているHAYABUSA PC WEDGEのお知らせです。
掲載しているHAYABUSA PC WEDGEの写真は全てプロトタイプ(試作)の写真となりますので、市販Ver.とは一部異なる場合があります。

HAYABUSA PC WEDGEはHAYABUSA PC IRONとの流れで寛容性(優しさ)を最大限に追求したウェッジとなります。

HAYABUSA PC WEDGEの特徴は、

1.HAYABUSA IronやHAYABUSA PC IRONと同じスプリットバックフェース構造をウェッジでは初採用。ミスヒットへの寛容性を最大化。

2.通常のウェッジより10~12g軽いヘッド重量とする事で抜群の操作性を実現。

3.HAYABUSAウェッジと同様のどの方向にも丸みを帯びたファルコンソールを採用する事で、抜群の抜けとチャックリ・ザックリがほぼ起こらないソール形状。

4.HAYABUSA PC IRONとの流れを重視し、ジュニア、レディース、一般男性、シニアまで最高の球筋となるようバリエーションを用意してそれぞれに最適化した設計。

5.AW(50度)とSW(56度)、LW(60度)の3つのバリエーションで、幅広いゴルファーに対応。

6.AW、SW、LWでそれぞれの使い方に応じた最適ソール形状を採用。

と言う設計思想の元に作っています。

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スプリットバックフェース構造で左右へ重量配分する事で、ミスヒットに対しての優しさを実現。
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丸いファルコンソールを採用する事で抜群の抜けとチャックリ・ザックリしにくいソール形状。
AW,SW,LWでそれぞれ使い方に応じた最適なソール形状。
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ストレートネックでオーソドックスなティアドロップ形状の顔つき

ストレートネックでオーソドックスなティアドロップ形状ですので、一見難しそうに見えるかもしれませんが、スプリットバックフェース構造とファルコンソールの採用でBoseIronFactory史上最も優しいウェッジとなりました。

北海道もようやく春となり、BoseIronFactoryの試打スペースやゴルフ場でテストが可能な時季をなりました。
今後はテストを実打テストと修正研磨を繰り返し、性能を煮詰めていくことになります。
その後、最終試作を製造し、様々なテストに合格してから市販Ver.の製造に入りますので、発売は早くても夏になると思います。

価格やロフトバリエーションなども今後決定していく事になりますので、現時点ではまだ分かりません。
ですが、間違い無く良いウェッジになっていますのでご期待下さい!!


F1、MotoGP、Mastersと全てリアルタイムで見ているので超絶に寝不足のファルコンです。

タイトル画像はMasters最終日のデシャンボーのプラクティスショット。
ドライバーを含む52球全て(計測出来た全ての球)が左に行っています。

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拡大した図

続いて割とリラックスしている(と思われる)11日のプラクティスショットを見てみましょう。

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2箇所で115球打っています

11日のプラクティスでは2箇所から打っていて、前半が左側で後半が右側で練習しています。
右側は長い番手だと林にかかるので、前半の右打席(中央ですけど)からのショットを分析していくとドローヒッターらしく右に出てからフック回転のサイドスピンで左に持っていく球筋もあります。

ここでお馴染みのイラストをご覧ください。

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お馴染みのイラスト①

クラブMOIは振るのに必要なチカラですから、必要以上のチカラが出てしまった場合には振りすぎになるため、Aの位置で当たる事になります。

デシャンボーの場合はクラブMOI値がほぼ統一されたワンレングスアイアン。ドライバーもFWもある程度デシャンボーの適正MOI値に近いはず。
それを踏まえてプラクティスショットの球筋やファイナルラウンドでの球筋を見ていくと・・・

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ティーオフでいきなり左に行ってしまいます。
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左の林の中からのセカンドショットではさすがに左には外しません

ティーオフでいきなり左に外し、林の中に入れてしまいます。
セカンドショットは左の林の中からで、長い番手を使い高さを抑えたハーフショットでしたからさすがに左には外しませんが、逆に距離が足りず、グリーン手前右に外します。

2番でも同様、ティーショットが左に行ってしまいます。

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飛びすぎや・・・

365ヤードと言うことで飛びすぎですが、飛びすぎと言うことはそれだけ振りすぎてしまった結果とも言えます。
つまり、左に行って当然とクラブMOIマッチング理論としては考える事も出来る訳です。

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林ギリギリでピンがグリーン右端にあるため狙いますが・・・

左からの2ndショットはピン筋(右側)では無くやはり左に。

3番ホールのティーショットでは・・・

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ベスポジよりは左ですね。

3番ホールのティーショットはそれほど引っかけていませんが、それでも左のバンカーギリギリのところでしたから、ベスポジとは言えません。
また、ティーショットをアイアン(おそらく5番)で気持ち抑えめに打っているので、極端に左には行っていないのだとおMOIます。

4番のパースリーでは5番アイアンを使ってグリーン左に外します。

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解説も左に行きまくっていると・・・

5番ホールでは、ようやくティーショットが良い位置にいきますが、

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良いところに持っていきましたが中央でも右でも無く左です。

ホント、左にしか行ってないです・・・。
2ndショットはようやく真っ直ぐいきます。

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169ヤードという事でPWかな?

169ヤードですからPWかそれ以下の番手ですが、ショートアイアンでもワンレングスで37.5インチで作っていますし、ムキムキマッチョですからPWの飛距離は普通に打って180ヤード近く飛びます。
スリークオーターまではいきませんが、実際のショットを観てもそこそこ力を抜いて打っているのが分かります。
であれば真っ直ぐ行くのもよく分かります。

時間があれば全てのショットで検証したいところですが、私もそこまでヒマじゃ無いので、今回はこの辺で勘弁してやることにしましょう(笑)

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左ばかりのプラクティスを出してまとめに入ります。

結論。
このように最終日でしかも最終組といったプレッシャーのかかるシチュエーションでは、緊張したり気持ちが高ぶる事でアドレナリンが出てしまいます。

BoseIronFactoryでサポートをしている平本世中選手などもレギュラーツアーでの優勝経験がまだ無いのでどうしてもそうなるんです。

デシャンボーもMastersはまだ優勝経験が無いですし、アメリカ人ですので「絶対に勝ちたい!」という気持ちはもの凄く強かったはずです。
しかもワンレングスでクラブMOIマッチングしているのとほぼ同じですので、アイアンからドライバーまでフルショットをするクラブではアドレナリンの影響で振りすぎてしまいほとんどのショットで左に行ってしまう事となります。

ちなみにクラブMOIマッチングをしていない選手の場合は、クラブMOIの低いショートアイアンで左に行く傾向があります。
デシャンボーと同じような最終日・最終組で初のツアーVを目前としている選手が崩れていくショットを分析すると、ほぼ確実に左に外して崩れていくので、注意して見てみるとそのことがお分かりになると思います。

なお、グリーン左に外して崩れていく選手が多いため、著名な設計家が設計したトーナメントコースではグリーン左にバンカーを設ける事が多いです。
これはコース設計家がクラブMOI理論に精通していると言うことでは無く、コース設計家がなんとなく「左に外す人のほうが多いから左に多くバンカーを作ろう」と考えているのだとおMOIます。

デシャンボーというと身体能力だけで無く、メンタルも強すぎのイメージでしたが、デシャンボーも人の子だったと言うことかもしれませんね。

ファルコンです。
先ず最初に、ごめんなさいm(_ _)m
魚雷バットの話を聞いて、「は?いまさら?」という感想が一番に感じた事です。

魚雷バットが話題になっていると言うことでいろいろなニュースを漁ったところ、先端部が細くなっていて魚雷のような形だからとのこと(すみません、ゴルフ以外のスポーツにほとんど関心が無いものでして・・・)。

魚雷バットを慣性モーメントの観点から考えると、先端を細くする事でバット全体のMOI値を下げる事が目的だと考えられます。
慣性モーメントの高低は(振る時に)外周に近い部分の重量を変えていくほうが効果があります。
ゴルフクラブで言うとヘッド、バットで言うと先端部分を軽くする事でクラブ(バット)全体のMOIを下げ、振り遅れの抑制やコントロール性を高める効果が期待出来ます。

宮本さんの解説ではMOI(慣性モーメント)に関してはお話していませんが、「操作性が上がる」事を理論的に説明すると上記のようになります。

野球は詳しくないと言うか全然知らないので、どなたか詳しい方に検証して頂きたいんですが、魚雷バットで量産されたと言うホームランはライト方向よりもセンター・レフト方向へのホームランが増えているはずです。

その理由ですが、クラブMOIマッチングの理論と同様ですが、高かったバット全体のMOI値が、先端部を細くする事で低くなります。
バットMOIが低くなり、振りやすくなるのでバットを振るスピードが上がりますし、振り遅れも解消される傾向になるでしょう。
スイングスピードも上がり、振り遅れも解消されることからホームランが量産されていると考えられます。

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バットのイラストが無くてすみません

今までCの位置で当たる事も多かったのでライト方向へのホームランが多かったのに対して、魚雷バットの場合はB(センター方向)やA(レフト方向)へのホームランが増えていると考えられます。

また、野球に詳しいメディアの方や関係者の方、魚雷バット導入以前のスイングスピードと魚雷バット導入してのスイングスピードの検証をしてみると、ほとんどの選手がスイングスピードの上昇があるはずですので、是非調べて頂きたいですね。

また、宮本さんは以下のようにもお話しています。

「ただ、みんながみんな使うとしたら、慣れるのには時間がかかるでしょう。いきなり使ってしっくりくる人もいるでしょうが、トップバランスでヘッドの先が効いたバットを使っている人は、バットを振ったときの感覚が違いすぎて大きな違和感を持つでしょう。」

面白いのは、これはクラブMOIマッチングにも全く同じ事が言えるんですね。
「ただ、ゴルファーのみんながみんなクラブMOIマッチングをするとしたら、慣れるのには時間がかかるでしょう。いきなり使ってしっくりくるゴルファーもいるでしょうが、スイングバランスで慣れたクラブを使っている人は、クラブを振ったときの感覚が違いすぎて大きな違和感を持つでしょう」

クラブMOIマッチングでは実際にその通りで、長い間スイングバランスのクラブで練習して来たシニアプロやベテランの方に完璧にクラブMOIが統一されたクラブとするとMOIマッチングの効果よりも違和感のほうが大きくなります。
アマチュアの方はプロよりも練習量も少ないため、シニアの方でも多くの場合MOIマッチングの効果のほうが違和感を超えます(但し、年齢が上になるほどクラブMOIマッチングに慣れるのに時間がかかる傾向はあります)。
この点に関しましても、クラブMOIマッチング認定クラフトマンであれば対処方法を知っていますのでご安心ください。

クラブMOIマッチングと魚雷バットで一番異なる点ですが、クラブの本数が多いと言うことですね。
クラブの本数が多いからこそ、クラブMOIを統一していく事が大切です。
一方でバットのほうは魚雷バットでも普通のバットでも、多くの本数を使う訳では無いので、キッチリ統一されている必要は無いとおMOIます。

なお、今後日本国内で魚雷バットが普及するかどうかは、正直まだ分かりません。
と言うのも、ゴルフでも野球でもオーソドックスなモノを好む傾向が強いからです。
魚雷バットが普及するとしたら、MLBだけで無く日本でも合う人がたくさんの実績を出して行く事が必要になると考えています。

また、魚雷バットが普及したとしたら。。。と言う前提で考えて行くと、バットMOIも人それぞれに適正MOI値があるはずですので、プロの中ではその人により合ったバットMOI値を使う事になると思います。
詳しくは知りませんが、バット全体のMOI値を計測する計測器もあったはずですので、バットの振り心地を数値化し、よりその人に合ったバットMOI値のバットを使う事が増えてくるのでないかと。

そうなったら面白いなぁと思うと共に、「野球に先を越されたら私の立場は無くなってしまうなぁ」とも思うファルコンなのでした(^^;;


※野球関係のメディアの方々からの取材依頼もお受け致しますので、詳細に関して取材されたい方はseabose@me.comまで御連絡くださいませ(^^

BoseIronFactoryのファルコンです。
前回までの検証でクラブMOIマッチングの凄さがお分かりになった方も多いのでは無いでしょうか?

ですが、本当に効果のあるクラブMOIマッチングは出来るショップが限られています。
クラブMOIマッチングは非常に精緻な作業を求められますので、キチンとJCMO(日本クラブMOIマッチング機構)で学んだクラフトマンで無ければ無理な作業です。
(何故無理な作業なのかは今後このnoteでご説明していきます)

そこで、安心してクラブMOIマッチングを任すことの出来るショップをご紹介します。
なお、BoseIronFactoryはファルコンのショップですので、BoseIronFactoryに御依頼をされるのであれば、それなりに儲かりますが、その他のショップからは1円も頂いていませんので忖度はありません(笑)

JCMO グランドマスタークラフトマン認定店舗

BoseIronFactory(JCMO本部、ジュニア育成ショップ)
〒088-3228
北海道川上郡弟子屈町奥春別原野40線西61
定休日:毎週火曜日
営業時間:10:00~24:00、土曜のみ AM5:00~24:00
TEL:080-5444-0101
​WebSite:https://www.ironfactory.info/
メール:seabose@me.com
Instagram:Instagram
​X(旧ツイッター):https://x.com/FalconMatsubara
認定クラフトマン(グランドマスター):ファルコンまつばら(JCMO会長)

JCMO S級クラフトマン認定店舗

​Golf Craft Stinger(JCMO中部拠点、ジュニア育成ショップ)
〒448-0813
愛知県刈谷市小垣江町石ノ戸17-1
TEL:090‐2619‐5763
メールアドレス golfcraftstinger@gmail.com
認定クラフトマン(特S級):長谷川 晋也


ハヤシゴルフ工房
〒142-0063 東京都品川区荏原5-6-3
TEL:03-3784-4352
​認定クラフトマン(S級):林 知男​​


ゴルフ工房 ギアサポート
〒307-0031
茨城県結城郡八千代町西大山613-17
TEL:090-3595-2585
営業時間:10:00~19:00
休業日:日曜日
認定クラフトマン(S級):羽鳥 具幸

JCMO A級クラフトマン認定店舗​

T-LABO
〒981-3329 宮城県黒川郡富谷町大清水2-22-1 S-COURT大清水内
TEL:022-341-3160
営業時間:平日・祝日11:00~19:00
     土日10:00~19:00
休業日:毎週木曜日、第3水曜日
認定クラフトマン(A級):竹井 次郎


TEE-1 新潟店
〒950-2121 新潟県新潟市西区槇尾127
TEL:025-201-6396
FAX:025-201-6396
営業時間:平日・祝日11:00~19:00 土日10:00~19:00
休業日:毎週水曜日、第3木曜日
認定クラフトマン(A級):斉藤 陽一


GOLF MAX さいたま浦和店
〒336-0021 埼玉県さいたま市南区別所1-26-13
TEL/FAX 048-799-3888
営業時間:平日・祝日11:00~19:00 土日10:00~19:00
休業日:毎週水曜日、木曜日
認定クラフトマン(A級):吉岡 隆行

​​
Ne’sFACTORY
〒651-1252 兵庫県神戸市北区山田町原野39-4 1F MAST内
TEL:080-3034-4335
認定クラフトマン(A級):川崎 良文​


英田ゴルフ製作所
〒701-2601 岡山県美作市尾谷665
TEL:0868-74-3784
FAX:0868-74-3585
メールアドレス keiya@aida-golf.com
HP:http://www.aida-golf.com
認定クラフトマン(A級):奥西 桂耶

DIVERSE GOLF
〒300-2633
茨城県つくば市遠東1111-19
TEL:029-828-8117
E-mail info@diverse-golf.com
HP:https://diverse-golf.com/
認定クラフトマン(A級):大西 健太


現状では以上の店舗となります。
過去に認定していたショップであっても、認定の継続を行っていないショップや認定基準以下のMOIマッチングを正規料金を取って行っていたショップ等は認定取消となりますので、掲載しておりません。

とは言いましても、今後も認定店は増えていく予定ですので、その際はJCMOホームページをご確認くだされば幸いです。

クラブMOIマッチングのやり方自体に関しては、長さと重さを中心に作業していきますので、それだけを見ると複雑な作業ではありません。

但し、長さに関しては最終的に0.1mm単位、重さに関しては0.01gとなります。
もし、JCMO認定店以外のショップに頼む事を考える場合、長さや重量の精度はどこまで拘るかをお聞きになると良いかもしれません。
もしかしたら、そのショップの方がこのnoteを見ているかもしれませんから、実際に0.1mm、0.01gをどのような測り方で測っているか聞くのも良いと思います。

また、”なんちゃってMOIマッチング”をしているショップのほとんどはクラブMOIスケールでの測り方や計測する時の注意点を知らないショップが多いです。
ここでその測り方を書いてしまうと見て真似をすると思いますので書きませんが、正確なクラブMOI値を計測する事自体が本当に難しいですし、ノウハウが必要となります。

正確な測定方法を知らずにMOI値の測定をしても20kg-cm²くらいは平気で変わって来ます。
20kg-cm²と言えばクラブMOI検証(3)で書いた通りの2番手分に相当する違いです。
そんな大雑把な形で”なんちゃってMOIマッチング”しても効果が無いばかりか、MOI値もグチャグチャで使い物にならないクラブしか出来上がりません。

上記の動画は同じクラブ(TaylorMadeP790の8番)を測り方を変えて測ったものです。
2614.9kg-cm²が間違った測り方、2590kg-cm²が正しい測り方をした場合のクラブMOI値です。
全く同じクラブでも、測り方次第でこれだけ変わってくるのです。
25kg-cm²と言えばほぼ3番手分(3番アイアンと5番アイアン)に相当する差です。
”なんちゃってMOIマッチング”のショップでなんちゃってMOIをすると、クラブの振り心地が揃うどころか、下手したらPWが7番アイアンの振り心地となったり、7番アイアンが4番アイアンの振り心地になったりする事も考えられる訳です。

当然”なんちゃってMOIマッチング”のショップでなんちゃってMOIしたクラブであっても調整料金は必ず支払いますが、調整から戻って来たクラブは「スイングバランスで作られた吊しの状態のほうが良かった」と言うことにもなります。
私達としてもなんちゃってMOIで調整されたクラブで「クラブMOIマッチングはたいした事無いどころかかえって使えないクラブになる」といった評判が広まる事は絶対に避けたいですし、なんちゃってMOIで無駄なお金を使って欲しくは無いと言うこともあります。

また、実際にBoseIronFactoryやJCMO認定店に持ち込まれたクラブの中にはなんちゃってMOIで組まれたクラブが持ち込まれる事があるのですが、正直基本工賃の2~3倍のお金を頂いても割に合わない程酷いモノがあります。
もちろん通常通りの工賃でお受けしますが、なんちゃってMOIで工賃を支払い、JCMOでやり直しの工賃を払うと言うことを防ぐ意味でも、最初からキチンとしたクラブMOIマッチングが出来るJCMO認定店にご用命頂く事が大切だと考えています。

もちろん、JCMO認定店以外に素晴らしいクラブMOIマッチングが出来るショップがあるかもしれませんし、きっとあると思います。
ですが、JCMO認定店以外の技術や知識、ノウハウを私達が確認する手段はないので、こちらで責任の持てるJCMO認定店をお勧めするしか無いのです。

再度申し上げますが、BoseIronFactory以外のショップから私には1円も入ってきません。
その上でJCMO認定店を強くお勧めするのですから、それだけの意味があると言うことを念頭に置いて頂けるとよろしいかと思います。

JCMO認定店はこちらから!!
なお、BoseIronFactoryでのクラブMOIマッチングですが、比較的空いていますので是非BoseIronFactoryへ・・・(^^)v


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スイングバランスのクラブスペック
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クラブMOIマッチングのクラブスペック(ビフォー、アフター)

4回に分けて書いて来たスイングバランスとクラブMOIマッチングの検証もいよいよ大詰めです。

まずはこれまで触れてこなかった7番アイアンに関して、再度スイングバランスとクラブMOIマッチングでどういった変化があるか見ていきます。

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一般アマチュアの実打データ

3番やPWではクラブMOI値を統一する事で、様々なメリットが出てきた事は既に述べました。
ですがほとんどいじっていないはずの7番アイアンでもかなり劇的な変化が出ています。
総飛距離(127.1→135.7)、キャリー(119.6→123.6)、打ち出し角(22.30→22.55)ボールスピード(ボール初速、40.26→42.84)、バックスピン(4829→5215)、サイドスピン(右361→右256)、左右距離ブレ(2.60→0.90)、打ち出し(左右)方向(右1.46→左0.90)、フェース角(右向き3.48→右向き1.50)、ヘッドスピード(33.15→33.40)、ミート率(1.21→1.28)

全ての項目で良い方向に改善されています。
これはどういうことなのでしょうか?

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7番アイアン単独でのスペック比較

先ずスイングバランス検証用の7番アイアンとクラブMOIマッチング検証用の7番アイアンのスペックをもう一度見ていきます。

くどいようですが、同じヘッド、同じシャフト、同じグリップです。
変わっている部分は、
1.シャフト振動数=328.01と332.63
2.レングス=36.750と36.700
3.スイングバランス=D1.8とD0.5
4.総重量=442.3と443.7

5.クラブMOI値は、2649.6kg-cm²2630.3kg-cm²となっています。

1.のシャフト振動数は揃っていたほうが良いですが、DG-S200と言うあまり精度の高いとは言えないシャフトですし、振動数が4cpm程度変わっても飛距離や球の方向性に目に見える影響を与えるとは考えにくい。

2.レングスの変化は0.05インチ(1.27mm)ですので、変わっているけれどほぼ影響は無し。また、レングスに関しては1.27mmですが短くなっているので、飛距離が落ちる説明にはなっても飛距離がアップするのは説明出来ません。

3.のスイングバランスが変わっていると言う点に於いてはスイングバランスを推奨している方からの意見があればお聞かせください。
こちらで何か言うのもフェアでは無いと思いますので(笑)

4.総重量に関してですが、スイングバランスが下がっているのに総重量はクラブMOIのほうが重いです。
同じ7番でも2本のクラブは別のクラブを使っていますから、個体差によるもので、カウンターバランスを入れて居る訳でも無いので「DGの重量精度ってそんなもんだよね」と言う印象しかありませんが、重くなっているので、飛距離が落ちても良いはずなのですが・・・

そして・・・
クラブMOIは2649.6kg-cm²と2630.3kg-cm²で19.3kg-cm²の違いがあります。
同じ7番で一番変わっているのがクラブMOIであること、及び上記の変わった部分でさほど球に対する影響があるとは考えにくい事から、球が変わった原因に一番寄与しているのはクラブMOI値の違いによるモノだと考えるのが妥当と思われます。

一般的に1番手で10kg-cm²の差が出てきますので、クラブMOIマッチングの7番とスイングバランスの7番では5番と7番の差があるので、そう考えるとご納得頂けるかと思いますしね。

それを踏まえてもう一度見ていくと、
総飛距離(127.1→135.7)、キャリー(119.6→123.6)=キャリーを含め、打ち出し角以下が原因で伸びたと考えられます。

打ち出し角(22.30→22.55)=MOIマッチング理論通り。

ボールスピード(ボール初速、40.26→42.84)=ヘッドスピード及びボールコンタクトが適正に近づいたためボールスピードが上昇した。

バックスピン(4829→5215)=適正値に近づいた。

サイドスピン(右361→右256)=より適正値に近づいた。

左右距離ブレ(2.60→0.90)=MOIマッチング理論通り。

打ち出し(左右)方向(右1.46→左0.90)=MOIマッチング理論通り。

フェース角(右向き3.48→右向き1.50)=MOIマッチング理論通り。

ヘッドスピード(33.15→33.40)=MOIマッチング理論通り。

ミート率(1.21→1.28)=MOIマッチング理論通り。


全て理論通りになっています。
当然と言えば当然なのですが、個人的には7番アイアンの結果こそがクラブMOIマッチングの真価を表しているのではないかと考えています。

同じヘッド、同じシャフト、同じグリップで作られた、同じ7番アイアンで、実質違うのはクラブMOI値のみです。
クラブMOI値の違いだけでこれだけ実際の球筋が変わってくるのです。


さて、4回に訳で書いて来たスイングバランスとクラブMOIマッチングによる球筋やスイングへ与える影響の違いですが、今回で一旦終了となります。

この検証を公正に行っている事は当然の事ですが、それでもまだ信じられない方やファルコンが嘘をついているとかデータを改ざんしていると思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような事は一切無いのですが、無い事は証明のしようがありませんので、そうお思いの方はクラブMOIマッチングしなくとも結構です(笑)

クラブMOIマッチングのご用命はBoseIronFactory若しくはJCMO認定店にご用命ください。
認定店以外でもなんちゃってMOIをやっている所はありますが、そうしたところでなんちゃってMOIされたクラブが「使い物にならなくなった」とJCMO認定店に持ち込まれる事例が多発しています。
お客様は使い物にならなくするために工賃を払う事になり、ちゃんと効果のあるMOIマッチングの出来るJCMO認定店に再度MOIマッチング依頼を出して再度工賃を払うと言うことになります。
不要な工賃をなんちゃってMOIに使うより、キチンとしたJCMOの認定店でクラブMOIマッチングをする事を強くお勧めします。
(認定店以外でもキチンとしたクラブMOIマッチングが出来る所があるのかもしれませんが、確認のしようが無いので分かりませんから)

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一般アマチュアのデータ

クラブMOIマッチング検証の2回目です。
前回は球の高さや方向と言った事をお話しましたが、今回はそれ以外の部分を見ていく事とします。

ボールの当たる位置がゴルファーひとりひとりにとって最適化される事で産まれるメリットは球の上がりと方向性だけではありません。

注目して頂きたいのが、右に書いてあるクラブ毎のヘッドスピードです。
3番アイアンでクラブMOIの場合が35.27m/sで、スイングバランスの場合が34.56m/sとなっています。
スイングバランスだとMOI値が高く振りにくいクラブだったのに対して、クラブMOIマッチングで組み上げると7番アイアンと同じ振りやすさになります。
つまり、長さが長くなった分キチンとヘッドスピードが上昇していると言うことがデータ上でも見てとれる訳です。

一方でスイングバランスで作ったPWはクラブMOIが低く、振るのにチカラがより少なくて済みます。
PW用にご自身で振るチカラ加減をアジャスト出来て居なければ振りすぎてヘッドスピードは上がります。
クラブMOIで組み上げたクラブの場合、振りすぎによるヘッドスピードの増加は理論上発生せず、長さなりのヘッドスピードとなります。
表ではクラブMOIで組んだPWのヘッドスピードが32.64m/sなのに対して、スイングバランスのPWのヘッドスピードは32.51m/s
少しではありますが、振るのにチカラが不要な分、スイングバランスで組んだPWのほうがヘッドスピードとしては速くなっています。
ここもクラブMOIマッチングの理論通りの結果と言えましょう。

次に飛距離のデータを見ていきます。
3番アイアンではキャリー・総飛距離ともかなり伸びているのがお分かりになると思います(131.5-142.7、149.6-156.7)。
この部分も理論通りなのですが、注目して頂きたいのはキャリーとランでしょう。
スイングバランスが18.1ヤードのランであるのに対して、クラブMOIでは14ヤードのランとなっており、総飛距離が伸びているにもかかわらず、ランは4.1ヤード短くなっています。
この部分は主に打ち出し角が12.62度から16.05度に上がった点が寄与していと思われますが、バックスピン量が3016回転から3910回転に上がっている事もランが少なくなる要因と考えられます。

打ち出し角が低く球が上がらず、且つバックスピンの少ない棒球となる事でランが伸びたと考えるのが妥当ではないかと考えています。

総飛距離で言うと149.6ヤードから156.7ヤードと伸びていますし、アイアンは飛距離だけを求めるクラブではありませんので、ランが出過ぎる事はあまり良いとも思いません。
飛距離が伸びているにも関わらず、グリーンでしっかり止る球になるのですから、ロングアイアンではクラブMOIマッチングはほぼメリットだけとも言えるでしょう。

次にPWではどちらの方が飛距離が出ているかと言うと、キャリー、総飛距離のどちらを見てもクラブMOIマッチングのPWのほうが飛んでいます。
正直PWではクラブMOIマッチングのほうが振りにくくなる分、飛距離は出ない(スイングバランスのほうが飛ぶ)と思っていたので、飛距離に関しては予想外でした。
ですが、よくよく考えていくと、フェースが閉じた状態でボールヒットするとミート率(スマッシュファクター)は低下します。
スイングバランスのほうがボールスピード(ボール初速)が若干ですが低下している事から見てもこすり球となってしまったと考えるのが妥当かと思います。
サイドスピン量を見るとフック回転の-216回転から若干のスライス回転である62回転まで減少していますから、左への擦り球となっていないことが分かります。
ですが、おそらくスマッシュファクターより打ち出し角が飛距離が伸びている事には大きな影響を与えているものと思われます。
PWの打ち出し角を見ていくと、スイングバランスで33.15度であったものが、クラブMOIマッチングでは29.40度まで、3度以上低くなっています。
打ち出し角がより適正値に近づいた事で、飛距離が伸びているのでは無いかと考えています。

ここまででスイングバランスとクラブMOIによる球筋やボールコンタクトの状態が変わってきている事がお分かりになったかと思います。
私自身も理論として皆様にご説明していた事が、こうした形で実証出来たことを嬉しく思いますし、データ取りやこうして記事としていく事で新たな発見があり、検証して良かったと考えています。

今日はここまで。
明日はスイングバランスとクラブMOIのまとめと、今日まで触れてこなかった7番アイアンで変化が起きている原因について探っていきます。

さて、いよいよ実打データを元にクラブMOIマッチングの効果の検証を行っていきます。

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画像が細かくて申し訳ありません。

データをを紐解く事で、少しでもクラブMOIマッチングに対しての理解を深めて頂ければと思います。

クラブMOIマッチングでは長い番手と基準番手、短い番手で統一された振り心地にする事で、基準番手と同じような位置でボールインパクトを迎えると言うチューニング方法です。

結果、長い番手では振り遅れが抑制され、短い番手では振りすぎを防ぐ事となり、どの番手でも基本的には基準番手と同じ球筋となります。

まずはクラブMOIマッチングの理論に関して勉強していきましょう。

スイングバランスで作られたクラブの場合、基本的に長い番手になるほどにクラブMOI値が高くなっていきます。

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岩崎プロのMOIマッチング前の状態。
ご自身で調整していないので、分かりやすいクラブMOIのフローです。


長い番手になるほどクラブMOIが高くなっていくのがこの表からもお分かり頂けると思います。
クラブMOIが高くなる=振るのに必要なチカラが多く必要となる。と言うことですから、高いMOI値に対応出来るチカラが出せない場合、振り遅れが生じます。
他方、短い番手では振りやすく(振るのにチカラが要らない)なるため、振りすぎてしまいます。
結果、長い番手では打ち出し角が増加、短い番手では打ち出し角が減少し、結果ロフトなり
(ロフト通りではありません)の打ち出し角となります。

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長い番手では振り遅れるため1の位置で当たり、
短い番手では振りすぎる事から3の位置で当たります。

では、ここで実際の球筋がどうなっているのかをデータを見て検証していきましょう。

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実際に打って集めたデータです。

表を見ていくと3番アイアンのスイングバランスでは打ち出し角が12.62度、クラブMOIマッチングしたアイアンでは打ち出し角が16.05度となっています。
対して短い番手のPWでは、MOIマッチングのPWが29.40度、スイングバランスのPWが32.72度となっています。

長い番手で球が上がらず、短い番手では球は上がりすぎない。
クラブMOIの理論通りで一安心です。

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基準番手(得意番手)の場合は2の位置で当たります。

ここでMOIマッチングに???と思っている方々は、32.72度と言う打ち出し角を見てショートアイアンで3の位置で当たってない証拠と言う方もいるかと思います。
ピッチングウェッジのロフトが46度なので、13.28度低い。
3の位置で当たったのであれば打ち出し角が50度とかになっても良いはず。
と言うことです。
その論理で言うと3番アイアンのロフトは20度ですので、これもおかしい事となりますが・・・。

この図はあくまでも説明のためのものであり、分かりやすいように相当誇張して書いています。
実際にはクラブの入射角がダウンブローでボールコンタクトを迎えるので、1~3はもっと図に向かって左の位置で当たります。
イメージで言うと、3番が実際には1の位置というイメージで良いでしょう。
ですのでスイングバランスの3番アイアンの場合は1の位置では無く、0若しくは-1の位置でボールコンタクトを迎えるとお考えください。
なので、3番アイアンでは打ち出し角が12.62度から16.05度まで高くなると言うことです。
逆にクラブMOIの効果に疑問をいだいている人に質問するならば、3番アイアンの打ち出し角が高くなり、PWの打ち出し角が低くなる理由をお聞きしたいものです。

話は若干逸れますが、実際のインパクトゾーンというのはもの凄く短いんですね。
インパクトゾーンを高速カメラで見ると、5cm位しかありません。
また、フェースのローテーションを含むビジネスゾーンは長くても20cm程度です。スイングアークの大きい人でもたった20cmの間にボール軌道に繋がる全ての事柄は起こっていると言うことになります。

次に方向性に影響を与えるフェースの開閉に関してです。


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こちらの図も分かりやすいように誇張して書いています。

クラブMOIが高いと振り遅れる、クラブMOIが低いと振りすぎると言うのがクラブMOIマッチング理論の本旨ですから、長い番手ではCの位置で当たり、短い番手ではAの位置で当たります。

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ここでは左右距離(左右へのばらつき)、打ち出し方向(右がプラス左がマイナス)、フェース角(右がプラス左がマイナス)を見ていきます。

スイングバランスの3番アイアンの左右へのばらつきは8.16ですから150ヤード先で右に8.16ヤード
対してクラブMOIマッチングでは、156ヤード先で-1.64なので左に1.64ヤードの所がばらつきの中心部分となります。

一方でPWはスイングバランスが105.8ヤード先で左に6.25ヤード、クラブMOIマッチングでは107.3ヤード先で左に0.72ヤードという事です。

また、出玉の方向を見ると、スイングバランスの3番アイアンが3.58度右方向に出ているのに対して左方向に-1.64度
スイングバランスのフェース角は右方向に4.02度に対して左方向に-0.16度となっています。

PWではバランスの方向角(出玉の方向)が-2.40度になっているのに対して-0.72度、フェース角はどちらもプラス方向ですが1.42度と1.26度となっています。

ここもフェース角以外は理論通りの結果が出ています。

フェース角に関しては理論と逆の結果となっていますので、今後検証を進めご報告しますね。
(ぶっちゃけ全部理論通りだったらやらせなんじゃ無いかと疑われるかと思っていたので、実はフェース角だけ違っていてちょっと安心というか、信じて頂けるかなぁと思っていたりします(笑))

少しばかり長くなりましたので、次に続きます。

今回から数回に渡って、クラブMOIマッチングで実際の球筋がどのように変わっていくのか?=クラブMOIマッチングは効果があるのか?と言うことをデータを見ながら検証していきたいと思います。

検証をするにあたっては、考え得る限りの公正を期すため、同じヘッド、同じシャフト、同じグリップで2セットを用意し、よりスイングバランスの揃ったセットをスイングバランスでの検証用とし、もう一つをクラブMOIマッチングを行った。

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スイングバランス検証用セットスペック
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ロフト角・ライ角に関しては、スイングバランス検証用セットとクラブMOIマッチング検証用セットで若干異なっていたので、どちらもメーカー発表値に合わせた。

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ツアーステージX-BLADEのスペック
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スイングバランスで組まれたセットのクラブMOI値推移グラフ

スイングバランス検証用セットのクラブMOI値推移グラフを見ると5番と6番が割と近いMOI値であるが、その他の番手は同程度の割合で推移している事が分かる。

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クラブMOIマッチングしたセットのビフォー

対してクラブMOIマッチング検証用のクラブはスイングバランス検証用に比べてクラブMOI値の推移が一定では無かった。

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クラブMOIマッチング後のクラブMOI値(2630kg-cm²合わせ)

一定では無かったクラブMOI値推移だが、クラブMOIマッチングを行った結果、目標値である2630kg-cm²近辺までMOI値を追い込んだ。

測定はガーミンApproach R50を使って測定。

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クラブパスやアタックアングルも出てくるが、球筋を中心にデータを。

ボールはTitleist PRO V1の2024モデルを使用し、アベレージ85~90程度のアマチュアゴルファー3人にそれぞれ10球ずつ打ってもらったデータを使用している。

使用した番手はロングアイアン代表として3番、ミドルアイアン代表として7番アイアン、ショートアイアン代表としてPWを使用して計測している。

次回からは実際に計測したデータを元に、スイングバランスとクラブMOIの実際の出球の傾向を検証していきます。


まず、自分で言いますがHAYABUSA Ironってマジに凄いんです。
難しい見た目にも関わらずとても優しいし、優しいのにコントロール性も十分にある。
これって高い次元で両立させるにはとても難しい事なんです。

まず、HAYABUSA Ironの特徴の一番目立つ部分のスプリットバックフェース構造に関して。

7番アイアン(34度相当)のスプリットバックフェースを例にとると、一番薄くなっている部分の厚さが、9.6mm
トゥ側の一番厚い部分の厚さが19.3mmです。
厚い部分と薄い部分の差が2倍あるのですが、鉄の比重が7.86倍(水1cc当たり1gの7.86倍)ありますのでこれだけでも相当フェース左右への重量配分がされている事になります。
フェース上下の重量配分に関しては上側はあまり考えていませんが、その分下側への重量配分には気を使っています。

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スプリットバックフェース構造にてフェース左右への重量配分は万全です。

フェース下部への重量配分ですが、具体的には以下の形で重量を低重心の構造にしています。
1.ブレードアイアンにしては非常に短いネック長で重心を低く設計。
2.フェース中央部以下に厚さを持たせることによって重心を低く設計。
3.トップブレード(トップライン)部分を薄くシャープに削る事で、見た目の精悍さを出すと同時に重心を低く設計。

1.のネック長に関してですが、ポケキャビアイアンなどはとてもネック長が短く設計されていますが、HAYABUSA Ironはブレードアイアンの中でもおそらく一番短い部類に入るのでは無いかと。

2.のブレード中央部より下に厚みを持たせることですが、多くのブレードアイアンがそうした形での設計となっていますが、HAYABUSA Ironの場合はスプリットバックフェース構造で左右に重量配分を行っているため、左右下部の厚さが他のブレードアイアンと比べても厚くなっています。
そのため他のブレードアイアンよりも重心が低く出来るのです。

3.のトップブレードの薄さによる低重心化は正直他の部分からするとたいした重量は取れないのですが、単にフェース下部の重量増以上にクラブMOI的には効いてくるんです。
慣性モーメントは円の外周に近い部分ほど効いてきます(cm²と言うように二乗に比例して効いてくる)。
つまり物理的にトップブレードというフェースの一番上の重量は二乗で効果あると言うこと。
重量的にはそれほど多くは無いのですが、二乗で効いてくる分、設計として非常に有用であると言うことになります。

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HAYABUSAウェッジのソール形状

次にHAYABUSA Ironの優しさのベースとなっているのが、独自のソール形状です。
HAYABUSAウェッジのファルコンソールは写真のように玉子を縦半分に切った形をしています。
HAYABUSA Ironではウェッジのように玉子型のソール形状そのままとはいかないのですが、HAYABUSAウェッジで培ったノウハウを元にした、丸いソールとなっています。
そのため、リーディングエッジで芝を切って進むと言うよりは芝をいなしてかき分けながらヘッドが進んでいきます。
そうなると芝をボールとの間に噛む事がほぼ無くなるので、フライヤーが起きにくくなります。
当然アイアンとしては非常に抜けが良くてヘッドスピードも落ちないと言うことプラス飛ぶフライヤーも飛ばないフライヤーも起きにくい。

ヘッドスピードが落ちにくく、フライヤーも起きにくいと言うことは縦の飛距離が安定します。
横の飛距離はスプリットバックフェース構造で安定していて、縦の飛距離はソール形状によって安定する。
つまり様々な設計思想をバランス良く取り入れることで、縦の飛距離(の階段)も、よこの方向性も非常にまとまってくるのがHAYABUSA Ironと言うことになります。

もちろんクラブMOIマッチング専用設計という事で、長い番手でもヘッドスピードが増大する事からキチンと飛距離が出ます。
クラブMOIマッチングと物理的に考え抜いた設計となっていますから、どのような方でも安定したアイアンショットが可能となるわけです。

一方で操作性ですが、操作性を左右するのはフェースの開きや閉じだけで無くフェースのどの位置に当てるか、それとどの軌道で当てていくかによります。
HAYABUSA Ironの場合、フェースのどの位置に当てるかはスプリットバックフェース構造により若干操作性へ与える影響は少なくなります(純然たるマッスルバック対比)が、それ以外の優しさの部分は操作性に影響があるどころかむしろ操作性にプラスになります。
つまり意図して操作するショット(インテンショナルショット)には十分以上の操作性を有するのに、寛容性・優しさは最大限の設計となっているんです。

そんなHAYABUSA Ironはバリエーションも豊富で、
1.ノーマルバージョンのロフト表示モデル。

一番オーソドックスで、どのようなシャフトにも合うモデルです。
ロフト表示なので、ショートホールでの番手自慢合戦が不要です。



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