ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 プロや一般アマチュアのクラブMOIマッチングやクラブの設計・開発だけで無く、日本クラブMOIマッチング機構(JCMO)の会長でグランドマスター(最上位)として数多くのクラフトマンに対して指導・育成を行っています。 最近はnoteに書く事が多いのでこちらのブログはあまり更新をしておりませんのでご了承ください。 noteは https://note.com/falconmatsubara インスタはhttps://www.instagram.com/falcon_matsubara/ インスタは英語での発信が主です。

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。
プロや一般アマチュアのクラブMOIマッチングやクラブの設計・開発だけで無く、日本クラブMOIマッチング機構(JCMO)の会長でグランドマスター(最上位)として数多くのクラフトマンに対して指導・育成を行っています。

最近はnoteに書く事が多いのでこちらのブログはあまり更新をしておりませんのでご了承ください。
noteは
https://note.com/falconmatsubara
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インスタは英語での発信が主です。

まず、自分で言いますがHAYABUSA Ironってマジに凄いんです。
難しい見た目にも関わらずとても優しいし、優しいのにコントロール性も十分にある。
これって高い次元で両立させるにはとても難しい事なんです。

まず、HAYABUSA Ironの特徴の一番目立つ部分のスプリットバックフェース構造に関して。

7番アイアン(34度相当)のスプリットバックフェースを例にとると、一番薄くなっている部分の厚さが、9.6mm
トゥ側の一番厚い部分の厚さが19.3mmです。
厚い部分と薄い部分の差が2倍あるのですが、鉄の比重が7.86倍(水1cc当たり1gの7.86倍)ありますのでこれだけでも相当フェース左右への重量配分がされている事になります。
フェース上下の重量配分に関しては上側はあまり考えていませんが、その分下側への重量配分には気を使っています。

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スプリットバックフェース構造にてフェース左右への重量配分は万全です。

フェース下部への重量配分ですが、具体的には以下の形で重量を低重心の構造にしています。
1.ブレードアイアンにしては非常に短いネック長で重心を低く設計。
2.フェース中央部以下に厚さを持たせることによって重心を低く設計。
3.トップブレード(トップライン)部分を薄くシャープに削る事で、見た目の精悍さを出すと同時に重心を低く設計。

1.のネック長に関してですが、ポケキャビアイアンなどはとてもネック長が短く設計されていますが、HAYABUSA Ironはブレードアイアンの中でもおそらく一番短い部類に入るのでは無いかと。

2.のブレード中央部より下に厚みを持たせることですが、多くのブレードアイアンがそうした形での設計となっていますが、HAYABUSA Ironの場合はスプリットバックフェース構造で左右に重量配分を行っているため、左右下部の厚さが他のブレードアイアンと比べても厚くなっています。
そのため他のブレードアイアンよりも重心が低く出来るのです。

3.のトップブレードの薄さによる低重心化は正直他の部分からするとたいした重量は取れないのですが、単にフェース下部の重量増以上にクラブMOI的には効いてくるんです。
慣性モーメントは円の外周に近い部分ほど効いてきます(cm²と言うように二乗に比例して効いてくる)。
つまり物理的にトップブレードというフェースの一番上の重量は二乗で効果あると言うこと。
重量的にはそれほど多くは無いのですが、二乗で効いてくる分、設計として非常に有用であると言うことになります。

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HAYABUSAウェッジのソール形状

次にHAYABUSA Ironの優しさのベースとなっているのが、独自のソール形状です。
HAYABUSAウェッジのファルコンソールは写真のように玉子を縦半分に切った形をしています。
HAYABUSA Ironではウェッジのように玉子型のソール形状そのままとはいかないのですが、HAYABUSAウェッジで培ったノウハウを元にした、丸いソールとなっています。
そのため、リーディングエッジで芝を切って進むと言うよりは芝をいなしてかき分けながらヘッドが進んでいきます。
そうなると芝をボールとの間に噛む事がほぼ無くなるので、フライヤーが起きにくくなります。
当然アイアンとしては非常に抜けが良くてヘッドスピードも落ちないと言うことプラス飛ぶフライヤーも飛ばないフライヤーも起きにくい。

ヘッドスピードが落ちにくく、フライヤーも起きにくいと言うことは縦の飛距離が安定します。
横の飛距離はスプリットバックフェース構造で安定していて、縦の飛距離はソール形状によって安定する。
つまり様々な設計思想をバランス良く取り入れることで、縦の飛距離(の階段)も、よこの方向性も非常にまとまってくるのがHAYABUSA Ironと言うことになります。

もちろんクラブMOIマッチング専用設計という事で、長い番手でもヘッドスピードが増大する事からキチンと飛距離が出ます。
クラブMOIマッチングと物理的に考え抜いた設計となっていますから、どのような方でも安定したアイアンショットが可能となるわけです。

一方で操作性ですが、操作性を左右するのはフェースの開きや閉じだけで無くフェースのどの位置に当てるか、それとどの軌道で当てていくかによります。
HAYABUSA Ironの場合、フェースのどの位置に当てるかはスプリットバックフェース構造により若干操作性へ与える影響は少なくなります(純然たるマッスルバック対比)が、それ以外の優しさの部分は操作性に影響があるどころかむしろ操作性にプラスになります。
つまり意図して操作するショット(インテンショナルショット)には十分以上の操作性を有するのに、寛容性・優しさは最大限の設計となっているんです。

そんなHAYABUSA Ironはバリエーションも豊富で、
1.ノーマルバージョンのロフト表示モデル。

一番オーソドックスで、どのようなシャフトにも合うモデルです。
ロフト表示なので、ショートホールでの番手自慢合戦が不要です。



スイングバランスの歴史は1920年代に始まりました。
T型フォードがバリバリ現役で販売されていた時代です。当時はパワステもエアコンも無いですし、ワイパーやスピードメーターすらありません。

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ワイパーなんて要らない!!
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メーターも要らない!!

蒸気自動車もまだまだ現役で、新車も買えた時代です。

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なんならドアも屋根も要らない!!
でも私でも修理出来そう。

スイングバランスの歴史と言っても、14インチ計として発案されて12インチになった後、また14インチに戻ったと言うだけで、それ以外は全く変わっていません。

スイングバランス計自体、イマドキのデジタル表示こそありますが、機械自体の構造は写真のものと全く変わりません。

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これが一番正確なスイングバランス計と言われています。
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天秤はかり

スイングバランス計の原理は上の写真の天秤はかりと同じです。

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天秤はかりの体重計

上の写真は体重計ですが、これも天秤はかりの1つのバリエーションです。
体重のような重いものを測る場合、体重100キロ近辺の人だったら天秤のもう一方に100キロのオモリを付けないと釣り合いませんから、測るのが大変になります。
そこで、てこの原理を使って100キロのオモリが1/10以下で済むようにしてあるのですが、写真を見て、スイングバランス計と構造的に非常に似ているのがお分かりになると思います。
ちなみに、天秤はかりの英語での名称は「balance scale」です。
全く以てそのままですね(笑)

天秤はかりの良い点は構造が単純で、重力加速度に影響されない点です。
重力加速度に影響されない事で、厳密には重さ(N)では無く、質量を測る事が出来ます。
重力加速度に影響されないため、例えば水の中でも1kgのものは1kgの分銅と釣り合います。
対してクラブMOIは重力加速度の影響をモロに受けます(と言うよりも重力加速度を測る)から、重力加速度が一定の条件下で測定しないとなりません。
まぁ、このあたりは実際に計測する人が知っていれば良い知識なので、クラブMOIマッチングで恩恵を受けるゴルファーの皆さんは知らなくても良い事だとは思いますけどね(^^;;

一方でクラブMOIスケールは静的に測るものでは無く、動的な振幅数を計測するのでレーザーを当てて正確な振幅数を基準として計測します。
当然電子基板もありますし部品点数も多く、非常に複雑な構成です。

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クラブMOIスケール2+の実機

クラブMOIスケールの構造が複雑であり、板バネ等の気温や微妙な空気の流れと言った重力加速度の影響を受ける複雑な計測方法を用いているため、クラブMOIスケールは電子はかりと同じように、公正(キャリブレーション)を常に行いながら使う必要があります。
上の写真の先にオモリのついた棒がキャリブレーションに於ける分銅と同じ意味を持つキャリブレーションスティックですが、このスティックを使い、毎日公正をする(場合によっては1日に何度でも)事でようやく信頼に値する数値が出ます。


最後にぶっちゃけますとスイングバランスで組んだほうが圧倒的に楽だし、儲かるんですけど、私はT型フォードよりテスラのほうが良いなぁ・・・。

クラブMOIマッチングのご依頼は下記までメールにてお願い致します!!
seabose@me.com

HAYABUSA IronHAYABUSAウェッジ等の御依頼は下記のリンクから!!


先ず最初に・・・・。

最近はnoteで書く事が多いので、ライブドアブログはなかなか更新頻度が上がりません。
申し訳無いのですが、今後はこちらよりnoteのほうを主流として書いていくと思いますので、BoseIronFactoryの情報やクラブMOIマッチングのことに関してアップデートしていただける方はnoteのほうをブックマーク願います。


さて、先日の続きでクラブMOIマッチングのトリセツ、実践編となります。

実際のラウンドでのトリセツ

1.     その日の体調や気温・湿度等々のクラブ以外の状況によっては適正MOIは若干変化する。
試合の最終日等でアドレナリンが出るといつも通りと思っていても振りすぎてしまうことが多く、その結果ボールは左に行きがちになります。
特に世中君の場合、まだ経験が浅くレギュラーツアーでの優勝も無いために、3日目までは良いところに着けていても最終日でイマイチと言うことが多いのだと思われます。
一番良いのはアドレナリンが出た時用のサブセットを作ることですが、時間も無いので、以下に対応方法を書きます。

2.     適正MOIの見分け方は、自分が考えているよりもボールが右に行きやすいか左に行きやすいかで見分ける。
具体的にはその日の朝の練習で、意識せず普通に打ってみて、自分の思っている弾道より右に行くか左に行くかを見ること。
右に行く場合は、完璧にベストな体調では無いので、右に行く程度によって短く握る。
逆に左に行く場合は、ベストな状態で振りすぎていると言うことなので、左に行く度合いに合わせて長めに握る。
長く握ればクラブMOIが(少しだけど)増加、短く握るとクラブMOIが(少しだけど)低下するので。
長く握る、短く握る度合いは0.25~0.5インチ程度でOKですが、球筋を見極めながら調整してください。

長く握るか短く握るかでクラブMOIが変わることを理解すれば、試合中でも修正可能です。
どの番手であっても同じクラブMOIに調整してあるので、前のホールで5番アイアンが左に行くようであれば、次のホールで8番アイアンを使う時に長めに握ればOKと言った具合で、使う番手が4番でもPWでも同じことです。

仮に、朝の練習で長く握っても左に行ってしまう場合ですが、その場合はツアーバンに駆け込み、全番手に2gちょうどの鉛を貼ってもらいましょう。
全番手に2gちょうどの鉛を貼った場合、スイングバランスで言う所の1.5番手分のMOIが上がります。
通常の番手間のインチ差が0.5インチなので、1.5番手分MOIが上がればいつも通りに握っても0.75インチまで長く握ったのと同じ効果があります。


と言うことで、2025シーズンは優勝しまくりまくってください!!
ファルコンまつばら

HAYABUSA PC IRONを試打された方からの感想を転載させて頂きます。
ありがとうございます!!
こちらの設計意図通りの感想でニヤけております(^^.


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ファルコンまつばら様

いつもお世話になっております。○○です。

本日試打クラブの返送いたしました。
またお金貯まったら買っちゃおうと思います!

いつもすごいものを作られるのでただただ脱帽するばかりです
(私もモノ作りを仕事にしており、顧客の求めるモノが作れるのがすごいです)

感想ですが、以下の通りです。長文で申し訳ございません。

顔:ノーマルHAYABUSAに比べて絶妙な優しさを感じます。グース具合もちょうど良く、嫌な感じが全くなく、さすがです!としか言いようがないです。
トップラインは薄いのが好みなのでノーマルの方が好印象かな?と思いました。
ソールした時に左に向くので捕まる印象も持ちやすく、優しさに繋がってると感じました。


打感:軟鉄鍛造の柔らかさもありながら、若干の弾き感もありますが、好きな打感です。
弾き感が初速の速さを感じ、いつもより飛んでいる感覚あり。
芯を外しても、外したことは打ち手に教えてくれるのに、手の痛さはなく、これも優しさを感じる点につながっているかも?と思いました。
怪我防止には本当にいいと思います。


飛距離性能:ノーマルHAYABUSAよりも1番手長く、1番手ロフトが立ってるので、ノーマル34度と、PCアイアン8番と比較しましたが、PCアイアンの方が気持ち飛んでいました。
球の高さも上がりやすかったです。ただスピンが効かなかったのか安いボールのせいか、止まりにくさは感じましたが、花道から攻めるタイプにはいいと思いました。
またダフっても芯を外しても、飛距離の落ち込みが本当に少なかったです。(捕まりやすいソールが手助けしてくれているのでしょうか?)


抜けの良さ:
ノーマルHAYABUSAの方が軍配は上がって当然ですが、PCアイアンも思いっきりダフっても突っかかりませんでした。


その他:A番手がめちゃくちゃ好きでした。本当に楽にアプローチでき、イメージ通りに打てて、20ヤード転がしチップインもできましたし、上げなきゃいけない時以外は、1パット圏内しかなかったです。


ここ最近弟子の皆がクラブMOIマッチングの普及啓蒙に尽力してくれている事でいろいろな方からお問合せを受ける事が多くなってきました。

こちらに聞いてくる人はブログやWebSiteを見るより聞いた方が早いし、お金もかからないから聞いちゃえ!!と聞いてくるので、ここに書いてもクラブMOIマッチング自体の問い合わせが減るとは思いませんが、ちゃんと調べる方々のためにクラブMOIマッチングに関して書こうと思います。

1.クラブMOIとは?

クラブMOIとはゴルフクラブ全体のMOI(Moment of Inertia=慣性モーメント)の事を指します。
ゴルファーにとってMOIはヘッドの寛容性(当たり負けのしにくさ)を表す指標として古くは5900g-cm²とか最近では10K=10,000g-cm²などの数値は聞き覚えがあると思います。
10KのMOIはヘッド単体で計測した場合ですが、一方のクラブMOIはヘッドだけで無く、シャフト・グリップを含めたクラブ全体の慣性モーメントです。同じ計測単位でも良いのですが、桁が大きくなりますので、g-cm²では無くkg-cm²の単位で表すこと(例:2750kg-cm²)を私達JCMO(日本クラブMOIマッチング機構)では採用しています。

2.クラブMOIは高くても低くてもNG

ヘッド単体の10KとかのMOIがミスヒットした時の寛容性(優しさ)を表すので、クラブMOIも大きい程良いと勘違いされる方もいらっしゃるのですが、クラブMOIに関しては高ければ良いと言う訳ではありません。
先ずは慣性モーメントがどういうモノかをご説明しましょう。

慣性モーメントはモノを回転させる際にどれだけのチカラが必要かを数値で表したもので、ヘッドの10Kの場合はフェースの上下と左右の慣性モーメントを合わせて10000(10K)g-cm²としています。
上下左右を合わせた慣性モーメントですから、ボールを打った際に上下左右のどの部分で当たっても10Kまでなら当たり負けしない(ヘッドが開いたり閉じたりの回転をしない)という事を表し、数値が高くなればなるほどミスヒット時の当たり負けしにくくなると言うことになります。
ミスヒットしてもヘッドが回転しにくく、抗ってくれる=優しさに繋がると言うことです(※多少暴論と言うか正確ではありませんが、説明のためですので、ご了承ください)。

一方でクラブMOIのほうの回転は、ミスヒットしてクラブが回ると言う回転では無く、スイングが円運動で回転する事を意味します。
スイングする時にクラブが抗ってくるチカラ=振るために必要なチカラのことです。
クラブを振るときに感じる抵抗と言ってもいいのですね。
クラブを振るときに必要なチカラが数値として示されるクラブMOIですから、クラブMOI値が高ければ良いとはなりません。

逆にクラブMOI値が低ければ良いのかと言うと、それもダメです。
ヘッドの付いていないシャフトだけを思いっきり振るとヘッド?スピードは速くなりますが、マン振りし続けるとかなりの確率で身体を壊します。
ヘッドという200g程度以上あるモノが無いと、クラブMOI値はもの凄く低くなるのですが、低すぎても決して良いと言う訳ではありません。
つまり、クラブMOI値は高すぎても低すぎてもいけないのですが、その部分がクラブMOIマッチングの真髄であり、難しいところなんです。

3.クラブMOIの高低でどのような影響が出てくるか?

適正なクラブMOI値でないとどのような影響が出てくるかと言う点ですが、先ずクラブMOIの高低はゴルファーそれぞれが感じる振り心地からして変わって来ます。
その人にとってクラブMOI値が高ければ「重く振りにくい」と感じますし、低ければ軽く振りやすいと感じますが、シャフトだけを振るのが軽く振りやすいとはならないように高すぎてもダメですし、低すぎてもダメなのです。

クラブMOIの高低は実際の球筋にも多大な影響が出てきます。

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この図はテストに出ます(クラブMOIマッチングセミナーの卒業テストですが・・・)

クラブMOIが高すぎる=振りにくい=振るために大きな力が必要と言うことですが、その力を出し切れなかった場合、クラブは振り遅れますね。
結果Cの位置で当たってボールはプッシュスライス気味に飛んでいきます。

逆にクラブMOIが低すぎる=振りやすいので振りすぎると言うことになりますので、ボールコンタクトはAの位置で当たって引っかけることとなります。

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こちらは正面から見た図

正面から見るとクラブMOIが高い=振り遅れると言うことになりますので、1の位置でボールコンタクトを迎え、クラブMOIが低い=振りすぎる事から3の位置で当たる事になります。
1の位置で当たった場合、ロフトは立った状態でボールヒットしますから、球は上がりません。
逆に3の位置で当たった場合はロフトが寝た状態でボールヒットするので球は上がりすぎる事になります。

クラブMOIがその人にとって適正なクラブMOI値だった場合、振り遅れる事も振りすぎる事も無いので、ボールコンタクトの際にフェース面は真っ直ぐ、適正なリアルロフトで当たる事となります。
B-2の位置で当たるので球が当たる効率としても一番良く、真っ直ぐ遠くへ飛ぶ事になります。

4.クラブMOI=スイングバランスでは分からない

詳細は次回以降に解説しますが、クラブMOIはスイングバランスの数値を見ただけでは分かりません。
例えばC0.0でも重く長いクラブであればクラブMOIは高くなりますし、D5.0でも軽く短いクラブであればクラブMOIは低くなります。
仮に普通に組まれたクラブで、スイングバランスがドライバーからウェッジまで全てD1.0で組まれていた場合、ドライバーのクラブMOIは高く、ウェッジやショートアイアンのクラブMOIは低くなります。
スイングバランスで組まれたクラブの傾向としてはクラブが長くなるにつれてクラブMOIは高くなる傾向です。

そこで3.の図を再度見てください。
ドライバーやロングアイアンではクラブMOIが高いため、振り遅れてボールヒットする=C-1の位置で当たるので、球は右に行き、球は上がらない。

ショートアイアンやウェッジではクラブMOIが低く振りすぎてボールヒットする=A-3の位置でボールヒットする。
結果、球は上がるけれど、左に引っかける。
と言うことになります。

B-2の位置で当たるようにするのがクラブMOIマッチングです。
やり方は至極単純。
B-2の位置で当たるクラブ(いわゆる得意番手)のクラブMOI値を計測し、その番手に他の番手のクラブMOI値を合わせていく(13本全てのクラブを同じMOI値にする訳ではありません)と言うことです。
慣性モーメント自体が重さと長さ(直径)に比例して高低していきますので、MOIマッチングの調整方法は基本的に重さと長さを調整していくこととなります。
ただ重さで言うと最終的には0.01g単位まで、長さで言うと0.1mm単位まで追い込んで調整しますし、どこで0.05g軽くするかを決めるには膨大なノウハウや技術・知識が必要です。

5.スライスしないはずのドライバー、ライ角が合っていても引っかけるショートアイアン

新製品のドライバーのキャッチフレーズやゴルフ雑誌の特集ではずっと「捕まるドライバー!!」とか「ショートアイアンで引っかけないために」と行った事が言われています。
逆に言うとこの数十年、ドライバーはスライスするし、ショートアイアンでは引っかけ続けていると言うことでもあります。
大資本のメーカーが毎年スライスしないドライバーを作っているにもかかわらず、実際に打ってみると多くの人がドライバーでのスライスに悩み続けていると言うことです。

なぜならばクラブメーカーはクラブMOIマッチングのことを知りません。
試しにゴルフ量販店に行って、「クラブMOIって何ですか?」と聞くと「今はTaylorMadeやPINGが10Kのクラブ出してます。以前だとナイキの四角いドライバーがありましたね」とか答えると思います(笑)
いくらクラブMOIマッチング理論が物理の原理原則に基づいた理論であっても、知らなければ分かりませんし、私達JCMO(日本クラブMOIマッチング機構)としてもメーカーを巻き込んだ形でもっともっとクラブMOIマッチングの理論を広めていかないといけないですね。

ただ、だからこそ先見の明があってスイングバランスに(悪い意味で)慣れきっていないトーナメントプロなどはクラブMOIマッチングで差をつけるチャンスですし、アマチュアでも自身のゴルフをシンプルにするために必要なクラブチューニングがクラブMOIマッチングと言えるのでは無いでしょうか?

次回は男子シード選手の平本世中プロに渡したMOIマッチングのトリセツ(実践編)をお送りします。
実際のラウンドでの対処方法ですので、これで平本世中プロも今季は優勝してもらいたいと思っています!!

ムチャぶりさん:「5~PWまで全て違うメーカー、違うヘッド、違うシャフトでMOIマッチングして頂きたいのですが、可能ですか?」

私:「可能ですが、そう言った場合ですとクラブMOIマッチングというより、単なるMOI合わせになりますのでほとんど意味は無いです。シャフトやヘッドが違う事で(※)MOI値を合わせても振り心地が一緒になることもございませんし、長さ・重量・飛距離のフローも統一されることはありません。」

※シャフトが違えば硬さも異なります。この場合は0.5インチ刻みになる事も無いと思われますので、同じMOI値でもシャフトが長かったり柔らかければ振り心地は重く感じますし、短かったり硬ければ軽めに感じます。
また、ヘッドが違うと言うことはヘッド重量やヘッド全体の重心の位置も変わって来ますので、シャフトが同じで同じクラブMOI値でも厳密には振り心地は変わって来ます。



とか、



ムチャぶりさん:「ある店でMOI値を計測して貰ったら2680kg-cm²でした。その店では頼みたく無いので、2680kg-cm²で調整して貰えますか?」

私「クラブMOI計測機のバージョンや気温、湿度、その時の風の流れでも計測されるクラブMOI値は大きく変わります。弊社の計測数値で2680kg-cm²に合わせても、そのお店で再度計測すると全く違う数値になります。そのため、JCMO認定店では数値によるMOI値の指定は受け付けておらず、ご期待に添うことは出来かねますのでご了承ください」


とか最近、クラブMOIマッチングが話題となっている事で、新たな御依頼も多いのですが、ムチャぶりも多くなっております。

どのような内容であれ、真摯にお返事致しますが、お札を縦にして立つだけのお金を積まれない限り、ムチャぶりには対応しかねますので、ご了承ください(縦に積まれた場合に領収書は出します)。

既に多くの方々から先行のご予約を頂いているHAYABUSA PC IRON

全ての面で考え抜かれたアイアンですので、既にご予約頂いた皆様は期待してお待ちください。

今回は数値上でも分かりやすい部分に関してお話していきます。

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こちらのスペック表で注目して頂きたいのが、「標準長さ」の項目です。
通常ですと0.5インチ刻みで長くなっていきますが、7番が37.5インチなのに対して6番は38.125インチと0.625インチ差で標準長を設定しています。
そして5番は38.875インチと0.75インチ差と更に長くなっています。

HAYABUSA PC IRONももちろんクラブMOIマッチング専用設計ですから、5番もAWも標準長で組み上げた場合に同じクラブMOIになるように設計しています。

当然長くとも短くとも振り心地は同じになるので、振り心地の大小によって振りにくくなりヘッドスピードが落ちると言ったことはありません。
長くなるっても振りにくくならないと言うことは、長くなった分だけ純粋にヘッドスピードが速くなると言うことになりますから、長い番手になるにつれて飛ばなくなる(飛距離差が出にくい)ということは無くなります。
通常0.5インチ刻みのところ0.625インチになり、0.75インチになるということで、より一層飛距離の階段が作りやすくなるという設計です。

また、スイングバランスで作られたアイアンの場合、長くなるにつれて振りにくくなる上に、長くなるにつれてロフト差の間隔も少なくなることが多いです。
例えば7番アイアンでロフト30度だった場合、8番アイアンでは34度の4度ピッチだったものが、6番アイアンでは31度、5番アイアンでは下手したら29.5度とか・・・。

振りにくくなって0.5インチ分のヘッドスピードアップが望めないばかりで無く、ロフトピッチも4度から3度、2.5度とかになっていてはそりゃあ球は上がらないし、飛距離も出なくなります。

BoseIronFactoryはこうした「ロングアイアンは飛ばない」問題に関して、20年近くクラブMOIマッチングを通じて取り組んでいますから、こうして根本的な部分から解決していきます。



HAYABUSA PC IRONの先行予約はBoseIronFactoryのWebShopからお願いします。



もう少しで初回製造分に届いてしまいますので、検討されている方はお早めにお願い致します。

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HAYABUSA PC IRONは多少のグースネックとなっています。

グースネックにしたのは捕まりが良くなるからと言うことでは無く、単に見た目で優しそうに感じるから。

グースネックは捕まると言われていますが、(敢えて怒られるのを覚悟で言いますが)グースが強まるほどヘッドは遅れて入る訳ですから、逆に捕まらなくなるのがグースネックです。
ただ、実際に捕まらなくなるほどのグースにするには5cmとか10cmのグースにしないとヘッドが遅れて入る事はありません。
つまり、PING EYE2などのかなり極端なグースネックでもクラブMOI次第では捕まるし捕まらない事もあると言う認識でOKです。

ですので、HAYABUSA PC IRON程度の多少のグースネックは特に性能としての影響は無く、ほぼ見た目で優しいと言う意味しかありません。
グースになっている分、ストレートネックよりはほんの少し重心深度が深くなるという事はありますが、それも誤差の範囲と思ってくださって結構です。



逆に難しく見えて実は優しいと言う事もあります。
それはトップライン薄さです。

実際にアイアンを研磨したり、CADでデザインしてCAD上でシミュレーションをすると分かるのですが、トップラインを薄く削ると3~4g程度の重量が浮きます。
270gのアイアンとするとたかだか1.5%程度の余剰重量となる訳ですが、軟鉄鍛造のアイアンの場合は4gの余剰重量というのはかなりの削りしろとなります。

この4gを重心位置より高いトップラインで削ることで、その分重量配分を下に持って行ける訳です。

トップラインが薄い=難しいと思われがちですが、実はトップラインを薄くする事で、多少なりとも低重心化出来ると言う、難しいはずのことが優しい方向に持って行けるんです。

一方でフェースの厚さを薄くしたり、ポケットキャビティや中空にする事で余った余剰重量を上下左右に持っていくと言う手法も良く用いられます。
上下左右に重量を集中的に配分すると、昨今の10Kドライバーのようにフェースの上に当たっても当たり負けせずにちゃんと飛ぶ。と言う考え方に基づいた手法なのですが、ドライバーと違いアイアンの場合はティーアップを高くする事は無いのでフェースの上に当たるという事はほぼ有り得ません。

アイアンでフェースの上で当たるのは深いラフでボールが浮いている時以外は考えにくいですし・・・。

あとは思いっきりダフってアイアンのフェース上部で当たると言うことも考えられますが、アイアンでそれほどまでにダフった場合はソールが地面に刺さるので、フェース上部の当たり負けを考えている場合じゃありません・・・(笑)

以上の事から、フェース上部=トップラインが厚いと言うことであまりメリットが無いと考えています。
机上のシミュレーションでしたらフェースの上下左右に重量配分すると言う事のメリットもあるんでしょうが・・・


ですので、BoseIronFactoryのアイアンは基本的にトップラインが厚いものはありません。
HAYABUSA PC IRONはBoseIronFactoryの中でも厚いほうですが、それでも某社のマッスルバックアイアンよりも薄いトップラインとなっていますので。


HAYABUSA Iron&ウェッジでグッドデザイン賞を受賞した時も全て理詰めで行ったデザインが美しく機能的だったという受賞理由なのですが、BoseIronFactoryは見た目だけのデザインは一切行いません。

HAYABUSA IronもHAYABUSA PC IRONも美しいと感じて頂いたのであれば、それは全てご説明出来る理詰めのデザインなんです。


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HAYABUSA PC IRONの先行ご予約はこちらから!!
(初回生産数まであと数セットとなっておりますので、ご予約はお早めに!!)

規模が小さくあまり在庫を持てないことから、受注生産としている製品も多かったのですが、珍しく?全製品・全ロフト・全番手の在庫がございます。

10周年記念セール!!で10%オフにもなっておりますので、是非この機会にBoseIronFactoryの製品をご利用ください!!





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タイトル
 

大変好評を頂いているクラブMOIマッチングの現在の空き状況をお知らせします。

2月末日までの作業は埋まっておりますが、3月以降の作業はまだ空きがございます。

事前にグリップ等の手配が完了している場合でしたら、お預かりしてから1週間~10日程度でお送り可能です。


クラブMOIマッチングの御依頼はseabose@me.comまでお願い致します。

なお、始めてクラブMOIマッチングをされる方はアイアンセットからのMOIマッチングをお勧め致します。
ドライバーのみと言った形でのMOIマッチングはアイアンセットを行ってからのご依頼若しくはアイアンセットと同時のMOIマッチングをお願い致します。


料金は1本6,800円、プラスグリップ代と送料となります。


ジュニア及びプロゴルファー(JGTO及びJLPGA、PGA)に関しては、持ち込みや支給を含め相談に応じますので、別途ご相談ください。

シードプロの平本世中選手やYouTubeの蝶ネクタイゴルファーで有名な三木龍馬プロもBoseIronFactoryでクラブMOIマッチングを行っておりますし、YouTube等でプロやジュニアから引っ張りだこのゴルフクラフトスティンガーのハセやンも私の弟子ですので、どうかご安心くださいませ。


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