ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 クラブMOIマッチングを中心とした理想の工房を北海道に作るまでの模様、そしてクラブMOIマッチングの今とこれからを中心に様々なことに顔を突っ込んでいきます(^^;; なお、純はもしかしたら出てくるかもしれませんが、蛍や五郎さんは出てきませんので、念のため・・・。

October 2024

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HAYABUSA PC IRONのバックフェースの窪みのアイデア自体は通常のHAYABUSA Ironと変わらないのですが、HAYABUSA PC IRONの窪みはHAYABUSA Ironの窪みよりも深く大きくなっています。

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ポケットキャビティにする事で、余剰重量がマッスルバック形状を元とするHAYABUSA Ironよりはるかに多くなっていますし、打点(フェース面)と窪みの間にポケットがあるので、ポケットが壊れないギリギリのところまで窪みを深く取れると言う利点がHAYABUSA PC IRONにあるからです。

このことによりHAYABUSA PC IRONのフェース左右のMOIは非常に大きくなり、左右への打点のブレによる寛容性の高さはHAYABUSA Ironの倍以上の数値(理論値)を達成しています。

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HAYABUSA Ironのスイートスポットのイメージ

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HAYABUSA PC IRONのスイートスポットのイメージ

実際には同じフェース面の写真では無いので比較しにくいのですが、HAYABUSA Ironでも通常のキャビティ並みのスイートスポットの広さがあったのに対して、HAYABUSA PC IRONではほぼフェース全面がスイートスポット(※1)となっています。

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通常のキャビティアイアンのスイートスポットのイメージ

HAYABUSA Ironと3枚目の通常キャビティのスイートスポットがネック側に偏っているのはネックにシャフトが付いているからです。
以前にも書いた通り、ゴルフの難しさはシャフト軸線上でボールを打たないからなのですが、シャフトがあり重心がネック寄りになるため、スイートスポットの中心がネック寄りになります。

対してHAYABUSA PC IRONのスイートスポットが他の2つと比べてヘッド中心(トゥ寄り)になっているのは、元々のポケットキャビティ部分の重量配分がトゥ寄りになっているからです。
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元々が赤丸のようにトゥ側に重量を寄せているのにもかかわらず、窪みを作る事で更に白丸部分の厚さが厚くなる事でネック(シャフト)側の重量に対して均衡を取れるだけのトゥ側の重さを確保しています。

そのため、窪みの位置もHAYABUSA Iron寄りもトゥ寄りにする事が可能となり、スイートスポットをフェースのほぼ全面にまで拡大する事が出来ました。

HAYABUSA Ironの発売から5年、その間ずっと暖めていたアイデアがようやく具現化出来る所まで来ていますので、大きな期待を持って発売をお待ちください!!




※1:スイートスポットはその部分にボールがヒットした場合に中心部の90%以上の飛距離(ボール初速)が確保出来る部分としています。

前回はHAYABUSA PC IRONを何故1ピース構造のポケットキャビティにしたのかをお話しました。

今回は1ピースのポケット構造を採用した事で得られる恩恵に関してお話していきます。

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ポケット構造にする事で得られるメリットは幾つもありますが、まずはキャビティにすることで得られるメリットを見ていきたいと思います。

キャビティにする事で得られるメリットは、まとめて言ってしまえば優しいと言う一言ですんでしまうのですが、なぜキャビティにする事で優しさというメリットが発生するのかもお話しましょう。

キャビティとは「何かに囲まれた空間、穴、へこみ」の意味で、バックフェースにへこみを作る事でその分の余剰重量をフェースの周囲に配置する事が主な目的です。
余剰重量をフェースの周囲に配置出来ると、真芯で当たらなくとも当たり負けする事が減りますので、スイートスポットが大きくなります。
キャビティがミスヒットに強いというのは多少ミスヒットしてスイートスポットの中心を外してもちゃんとボールが飛んでくれるし、芯を外してもそれほど飛距離も方向性も狂う事が無いと言うことです。

キャビティが優しいと言われるのはミスヒットしてもある程度はクラブがなんとかしてくれるということです。


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ポケットキャビティの場合ですが、通常のキャビティの優しさをより際立たせた形状となります。
通常のキャビティの周囲に重量配分してミスヒットに対して優しくすると言う点にプラスして、

1.ポケット構造にする事でより低重心化する事が出来る
2.ポケット構造にする事でより重心を深くする事が出来る
3.ポケット構造にする事で、通常キャビティよりフェースを大きくする事が出来る
4.ポケット構造にする事で、ソールを広くする事が出来る

と言ったメリットが付加されます。


1.の低重心化はある程度ロフトが立っていてもボールが上がりやすいと言うメリットに繋がりますし、2.の深重心もボールが上がりやすいと言うメリットがあります。また、低重心・深重心になるとスピン量が減る傾向がありますので、飛距離的にも球の曲がりにも低スピンは有利です。
また、この2点によりボールが上がりやすくなるため、ロフトをストロングロフト化して、低めのヘッドスピードの方にも飛距離の階段が出来やすくすると言うメリットも。
3.のフェースを大きくするのは大きくするだけでしたら見た目の安心感しかメリットは無いのですが、キャビティ構造によりスイートスポットが広く大きくなっているので、フェースを大きくしても問題はありません。

4.に関しては「広くする事が出来る」と言うより「広くなる」と言う結果論になるのですが、ぶっちゃけある程度以上のソール幅があれば広くなる事で性能面では特にメリットはありません。
もちろん見た目の安心感はありますので、それがメリットと言えばメリットなのでしょうが、逆にソールが広いとそれだけ芝や地面との摩擦が増えるので、BoseIronFactory的には正直それほどのメリットは感じていません(これに関しては別の機会にその解消方法を書きます)。


1~3ともメリットがあればデメリットもあります。
低重心と深重心によってもたらされる低スピンの傾向は、サイドスピンも低スピン化しますから、インテンショナルにボールを曲げていく事は難しくなります。
3のフェースの大きさに関しても大きくなってもスイートスポットが広くなっているので、インテンショナルにボールを曲げていく事に関してはデメリットとなりますね(デメリットの程度は非常に低いですが)。
また、低スピン化すると言うことはグリーンでボールが止りにくくなる。と言うことでもあります。ボールが止りにくくなる事に関しては当然対応策を考えていますので、ご安心ください(これも別の機会にお話しします)。

では、インテンショナルボールが打てないかと言うと実はそうでも無いんです。
HAYABUSA IronやJCM-01BLADEと比べるとインテンショナルボールは打ちにくい設計ですが、きちんとスライス回転・フック回転をかけてやる打ち方が出来ればもちろんインテンショナルボールは打てます。

インテンショナルボールが打ちにくいと言ってもサイドスピンが少なくなるだけで、ゼロになる訳ではありませんから、マッスルバックと同じインテンショナルボールを打とうとしても曲がり幅が少なくなるだけで、曲がらないと言う訳ではありませんので。

ただ、きちんとサイドスピンがかかる打ち方をしないといけないですし、普通に打つとHAYABUSA PC IRONがある程度自動的に真っ直ぐに矯正してくれると言うこととなります。


次回はHAYABUSA PC IRONならではの設計意図と、その実現のための方法をお話していきます。

多くの方々からご期待頂いているHAYABUSA PC IRONですが、現在開発の終盤を迎えておりますが、発売自体は2025年になると思われます。

こちらでは開発意図、設計意図からお話して、実際にどのようにその意図をHAYABUSA PC IRONに反映させていったかをお話していこうと思います。

先ずはHAYABUSA PC IRONの要であるポケットキャビティの事からお話していきましょう。

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軟鉄鍛造アイアンで深く広いポケットを作るためには、通常ポケット部分をヘッドのボディとは別に作ります。
別に作ったキャビティ部分とボディと溶接して貼り合わせるのが通常です。

鋳造でしたら溶けた鉄を流し込んで行くため深く広いポケットを作る事が可能ですが、鍛造の場合、高温に熱した鉄を叩いて成型するため、深くて広いポケットを作るためには2ピース構造として溶接で貼り合わせることが必要でした。

溶接による貼り合わせのメリットとしては安価に深く広いポケットが出来ると言うメリットがありますが、一方でデメリットとしては溶接による加熱加工が鍛造本来の打感を損ねると言うデメリットがありました。

一般的に軟鉄鍛造のメリットとしては、
○やわらかい打感で、心地よい感触が得られる
○スピン量が増し、グリーンで止まりやすい
○ロフト角やライ角を自分のスイングに合わせて調整できる
○芯を喰ったショットでも余計な振動が発生しにくい
と言ったことが上げられますが、軟鉄鍛造で一番最初に考えが浮かぶのはやはり柔らかな打感によってもたらされる芯に当たった時の気持ちよさでしょう。

大きなメリットである打感の良さをスポイルしてしまう溶接をする位なら、鋳造で作ったほうが複雑な形状も作れますから。


逆に言えば浅く狭いポケットだったら削り出し(CNCミルド)で後から加工して作る事は可能なのですが、浅く狭いポケットでしたらポケットの効果もそれほど見込めません。

HAYABUSA PC IRONのポケットは番手別に深さも広さも設計してありますが、非常に深く広いポケットとなっています。
溶接による2ピース構造では無く、CNCミルドによる機械加工で掘っているのですが、これには非常に確かな技術とノウハウが必要となります。
また、1ピース構造となる事で深く広いポケットを彫り込んでいくには時間がかかるので、コストもかかります。

そのため、2ピース構造がほとんどを占めるのですが、BoseIronFactoryとしてはコストよりも軟鉄鍛造の打感やその他のメリットが勝ると考えているので、HAYABUSA PC IRONに関しては敢えて1ピース構造のポケットを選択しました。


現在開発中のHAYABUSA PC IRONですが、一般男性用だけで無く、シニア男性用・一般女性用、そしてジュニア用の製作も致します。
ジュニア用はロフト・ライ・重量はその他のモデルと変わりますが、形状や性能は基本的にその他のモデルと全く同一です。
ジュニア~一般(男女)用~シニア用とゴルフを始めてから一生同じ形状・性能のアイアンが使えるって、とても凄いことだと思うのですが、今のジュニアがシニアになる時まで私は生きていないでしょうから、もう暫く頑張ってから若い世代に事業を譲る事になるんでしょうね(^^;;


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発売日・価格共にまだ決定ではありませんし、Teshikaga HKDのロゴだけですが、プロトタイプ(最終試作)第一弾のHAYABUSA PC Ironをご覧ください。


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たくさんの皆様から早く発売して欲しいとのお声を頂いているHAYABUSA Ironのポケットキャビティモデル、「HAYABUSA PC Iron」の進捗状況をお知らせ致します。

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現在、ファルコンが研磨したマスター型を協力企業さまにお渡しし、もう少しで最終試作の第一弾が上がってくる段階です。

まだ修正しなければいけない部分はありますが、最終試作の第一弾が上がってきましたら、すぐに組み上げて浦東プロや一般アマチュアの方にテストして頂きます。
浦東プロは一般アマチュアへのレッスンも非常に定評のあるプロですから、アマチュアのかゆいところに手が届くアイアンになると強く確信しております。

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(写真は#golf897のグリーンジャケットからお借りしました)


そして浦東プロや一般アマチュアの方からの改善点を修正し、キチンと修正されているか確認した後に市販に向けての製造に入ります。

上記のようなロードマップで進めておりますので、市販出来るのは早くても2025年の2~3月位になると思われますし、価格も市販に向けての製造が見えて来ないと決めることが出来ません。 (開発に予想以上の経費がかかったり、製造費自体も決定するのはまだ先ですので)


楽しみにお待ち頂いている皆様には誠に申し訳ありませんが、BoseIronFactoryとしても社運をかける形で進めておりますので、もう暫くの間お待ち頂けますようお願い致します。


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