ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 クラブMOIマッチングを中心とした理想の工房を北海道に作るまでの模様、そしてクラブMOIマッチングの今とこれからを中心に様々なことに顔を突っ込んでいきます(^^;; なお、純はもしかしたら出てくるかもしれませんが、蛍や五郎さんは出てきませんので、念のため・・・。

March 2025

HAYABUSA PC IRONを試打された方からの感想を転載させて頂きます。
ありがとうございます!!
こちらの設計意図通りの感想でニヤけております(^^.


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ファルコンまつばら様

いつもお世話になっております。○○です。

本日試打クラブの返送いたしました。
またお金貯まったら買っちゃおうと思います!

いつもすごいものを作られるのでただただ脱帽するばかりです
(私もモノ作りを仕事にしており、顧客の求めるモノが作れるのがすごいです)

感想ですが、以下の通りです。長文で申し訳ございません。

顔:ノーマルHAYABUSAに比べて絶妙な優しさを感じます。グース具合もちょうど良く、嫌な感じが全くなく、さすがです!としか言いようがないです。
トップラインは薄いのが好みなのでノーマルの方が好印象かな?と思いました。
ソールした時に左に向くので捕まる印象も持ちやすく、優しさに繋がってると感じました。


打感:軟鉄鍛造の柔らかさもありながら、若干の弾き感もありますが、好きな打感です。
弾き感が初速の速さを感じ、いつもより飛んでいる感覚あり。
芯を外しても、外したことは打ち手に教えてくれるのに、手の痛さはなく、これも優しさを感じる点につながっているかも?と思いました。
怪我防止には本当にいいと思います。


飛距離性能:ノーマルHAYABUSAよりも1番手長く、1番手ロフトが立ってるので、ノーマル34度と、PCアイアン8番と比較しましたが、PCアイアンの方が気持ち飛んでいました。
球の高さも上がりやすかったです。ただスピンが効かなかったのか安いボールのせいか、止まりにくさは感じましたが、花道から攻めるタイプにはいいと思いました。
またダフっても芯を外しても、飛距離の落ち込みが本当に少なかったです。(捕まりやすいソールが手助けしてくれているのでしょうか?)


抜けの良さ:
ノーマルHAYABUSAの方が軍配は上がって当然ですが、PCアイアンも思いっきりダフっても突っかかりませんでした。


その他:A番手がめちゃくちゃ好きでした。本当に楽にアプローチでき、イメージ通りに打てて、20ヤード転がしチップインもできましたし、上げなきゃいけない時以外は、1パット圏内しかなかったです。


ここ最近弟子の皆がクラブMOIマッチングの普及啓蒙に尽力してくれている事でいろいろな方からお問合せを受ける事が多くなってきました。

こちらに聞いてくる人はブログやWebSiteを見るより聞いた方が早いし、お金もかからないから聞いちゃえ!!と聞いてくるので、ここに書いてもクラブMOIマッチング自体の問い合わせが減るとは思いませんが、ちゃんと調べる方々のためにクラブMOIマッチングに関して書こうと思います。

1.クラブMOIとは?

クラブMOIとはゴルフクラブ全体のMOI(Moment of Inertia=慣性モーメント)の事を指します。
ゴルファーにとってMOIはヘッドの寛容性(当たり負けのしにくさ)を表す指標として古くは5900g-cm²とか最近では10K=10,000g-cm²などの数値は聞き覚えがあると思います。
10KのMOIはヘッド単体で計測した場合ですが、一方のクラブMOIはヘッドだけで無く、シャフト・グリップを含めたクラブ全体の慣性モーメントです。同じ計測単位でも良いのですが、桁が大きくなりますので、g-cm²では無くkg-cm²の単位で表すこと(例:2750kg-cm²)を私達JCMO(日本クラブMOIマッチング機構)では採用しています。

2.クラブMOIは高くても低くてもNG

ヘッド単体の10KとかのMOIがミスヒットした時の寛容性(優しさ)を表すので、クラブMOIも大きい程良いと勘違いされる方もいらっしゃるのですが、クラブMOIに関しては高ければ良いと言う訳ではありません。
先ずは慣性モーメントがどういうモノかをご説明しましょう。

慣性モーメントはモノを回転させる際にどれだけのチカラが必要かを数値で表したもので、ヘッドの10Kの場合はフェースの上下と左右の慣性モーメントを合わせて10000(10K)g-cm²としています。
上下左右を合わせた慣性モーメントですから、ボールを打った際に上下左右のどの部分で当たっても10Kまでなら当たり負けしない(ヘッドが開いたり閉じたりの回転をしない)という事を表し、数値が高くなればなるほどミスヒット時の当たり負けしにくくなると言うことになります。
ミスヒットしてもヘッドが回転しにくく、抗ってくれる=優しさに繋がると言うことです(※多少暴論と言うか正確ではありませんが、説明のためですので、ご了承ください)。

一方でクラブMOIのほうの回転は、ミスヒットしてクラブが回ると言う回転では無く、スイングが円運動で回転する事を意味します。
スイングする時にクラブが抗ってくるチカラ=振るために必要なチカラのことです。
クラブを振るときに感じる抵抗と言ってもいいのですね。
クラブを振るときに必要なチカラが数値として示されるクラブMOIですから、クラブMOI値が高ければ良いとはなりません。

逆にクラブMOI値が低ければ良いのかと言うと、それもダメです。
ヘッドの付いていないシャフトだけを思いっきり振るとヘッド?スピードは速くなりますが、マン振りし続けるとかなりの確率で身体を壊します。
ヘッドという200g程度以上あるモノが無いと、クラブMOI値はもの凄く低くなるのですが、低すぎても決して良いと言う訳ではありません。
つまり、クラブMOI値は高すぎても低すぎてもいけないのですが、その部分がクラブMOIマッチングの真髄であり、難しいところなんです。

3.クラブMOIの高低でどのような影響が出てくるか?

適正なクラブMOI値でないとどのような影響が出てくるかと言う点ですが、先ずクラブMOIの高低はゴルファーそれぞれが感じる振り心地からして変わって来ます。
その人にとってクラブMOI値が高ければ「重く振りにくい」と感じますし、低ければ軽く振りやすいと感じますが、シャフトだけを振るのが軽く振りやすいとはならないように高すぎてもダメですし、低すぎてもダメなのです。

クラブMOIの高低は実際の球筋にも多大な影響が出てきます。

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この図はテストに出ます(クラブMOIマッチングセミナーの卒業テストですが・・・)

クラブMOIが高すぎる=振りにくい=振るために大きな力が必要と言うことですが、その力を出し切れなかった場合、クラブは振り遅れますね。
結果Cの位置で当たってボールはプッシュスライス気味に飛んでいきます。

逆にクラブMOIが低すぎる=振りやすいので振りすぎると言うことになりますので、ボールコンタクトはAの位置で当たって引っかけることとなります。

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こちらは正面から見た図

正面から見るとクラブMOIが高い=振り遅れると言うことになりますので、1の位置でボールコンタクトを迎え、クラブMOIが低い=振りすぎる事から3の位置で当たる事になります。
1の位置で当たった場合、ロフトは立った状態でボールヒットしますから、球は上がりません。
逆に3の位置で当たった場合はロフトが寝た状態でボールヒットするので球は上がりすぎる事になります。

クラブMOIがその人にとって適正なクラブMOI値だった場合、振り遅れる事も振りすぎる事も無いので、ボールコンタクトの際にフェース面は真っ直ぐ、適正なリアルロフトで当たる事となります。
B-2の位置で当たるので球が当たる効率としても一番良く、真っ直ぐ遠くへ飛ぶ事になります。

4.クラブMOI=スイングバランスでは分からない

詳細は次回以降に解説しますが、クラブMOIはスイングバランスの数値を見ただけでは分かりません。
例えばC0.0でも重く長いクラブであればクラブMOIは高くなりますし、D5.0でも軽く短いクラブであればクラブMOIは低くなります。
仮に普通に組まれたクラブで、スイングバランスがドライバーからウェッジまで全てD1.0で組まれていた場合、ドライバーのクラブMOIは高く、ウェッジやショートアイアンのクラブMOIは低くなります。
スイングバランスで組まれたクラブの傾向としてはクラブが長くなるにつれてクラブMOIは高くなる傾向です。

そこで3.の図を再度見てください。
ドライバーやロングアイアンではクラブMOIが高いため、振り遅れてボールヒットする=C-1の位置で当たるので、球は右に行き、球は上がらない。

ショートアイアンやウェッジではクラブMOIが低く振りすぎてボールヒットする=A-3の位置でボールヒットする。
結果、球は上がるけれど、左に引っかける。
と言うことになります。

B-2の位置で当たるようにするのがクラブMOIマッチングです。
やり方は至極単純。
B-2の位置で当たるクラブ(いわゆる得意番手)のクラブMOI値を計測し、その番手に他の番手のクラブMOI値を合わせていく(13本全てのクラブを同じMOI値にする訳ではありません)と言うことです。
慣性モーメント自体が重さと長さ(直径)に比例して高低していきますので、MOIマッチングの調整方法は基本的に重さと長さを調整していくこととなります。
ただ重さで言うと最終的には0.01g単位まで、長さで言うと0.1mm単位まで追い込んで調整しますし、どこで0.05g軽くするかを決めるには膨大なノウハウや技術・知識が必要です。

5.スライスしないはずのドライバー、ライ角が合っていても引っかけるショートアイアン

新製品のドライバーのキャッチフレーズやゴルフ雑誌の特集ではずっと「捕まるドライバー!!」とか「ショートアイアンで引っかけないために」と行った事が言われています。
逆に言うとこの数十年、ドライバーはスライスするし、ショートアイアンでは引っかけ続けていると言うことでもあります。
大資本のメーカーが毎年スライスしないドライバーを作っているにもかかわらず、実際に打ってみると多くの人がドライバーでのスライスに悩み続けていると言うことです。

なぜならばクラブメーカーはクラブMOIマッチングのことを知りません。
試しにゴルフ量販店に行って、「クラブMOIって何ですか?」と聞くと「今はTaylorMadeやPINGが10Kのクラブ出してます。以前だとナイキの四角いドライバーがありましたね」とか答えると思います(笑)
いくらクラブMOIマッチング理論が物理の原理原則に基づいた理論であっても、知らなければ分かりませんし、私達JCMO(日本クラブMOIマッチング機構)としてもメーカーを巻き込んだ形でもっともっとクラブMOIマッチングの理論を広めていかないといけないですね。

ただ、だからこそ先見の明があってスイングバランスに(悪い意味で)慣れきっていないトーナメントプロなどはクラブMOIマッチングで差をつけるチャンスですし、アマチュアでも自身のゴルフをシンプルにするために必要なクラブチューニングがクラブMOIマッチングと言えるのでは無いでしょうか?

次回は男子シード選手の平本世中プロに渡したMOIマッチングのトリセツ(実践編)をお送りします。
実際のラウンドでの対処方法ですので、これで平本世中プロも今季は優勝してもらいたいと思っています!!

ムチャぶりさん:「5~PWまで全て違うメーカー、違うヘッド、違うシャフトでMOIマッチングして頂きたいのですが、可能ですか?」

私:「可能ですが、そう言った場合ですとクラブMOIマッチングというより、単なるMOI合わせになりますのでほとんど意味は無いです。シャフトやヘッドが違う事で(※)MOI値を合わせても振り心地が一緒になることもございませんし、長さ・重量・飛距離のフローも統一されることはありません。」

※シャフトが違えば硬さも異なります。この場合は0.5インチ刻みになる事も無いと思われますので、同じMOI値でもシャフトが長かったり柔らかければ振り心地は重く感じますし、短かったり硬ければ軽めに感じます。
また、ヘッドが違うと言うことはヘッド重量やヘッド全体の重心の位置も変わって来ますので、シャフトが同じで同じクラブMOI値でも厳密には振り心地は変わって来ます。



とか、



ムチャぶりさん:「ある店でMOI値を計測して貰ったら2680kg-cm²でした。その店では頼みたく無いので、2680kg-cm²で調整して貰えますか?」

私「クラブMOI計測機のバージョンや気温、湿度、その時の風の流れでも計測されるクラブMOI値は大きく変わります。弊社の計測数値で2680kg-cm²に合わせても、そのお店で再度計測すると全く違う数値になります。そのため、JCMO認定店では数値によるMOI値の指定は受け付けておらず、ご期待に添うことは出来かねますのでご了承ください」


とか最近、クラブMOIマッチングが話題となっている事で、新たな御依頼も多いのですが、ムチャぶりも多くなっております。

どのような内容であれ、真摯にお返事致しますが、お札を縦にして立つだけのお金を積まれない限り、ムチャぶりには対応しかねますので、ご了承ください(縦に積まれた場合に領収書は出します)。

既に多くの方々から先行のご予約を頂いているHAYABUSA PC IRON

全ての面で考え抜かれたアイアンですので、既にご予約頂いた皆様は期待してお待ちください。

今回は数値上でも分かりやすい部分に関してお話していきます。

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こちらのスペック表で注目して頂きたいのが、「標準長さ」の項目です。
通常ですと0.5インチ刻みで長くなっていきますが、7番が37.5インチなのに対して6番は38.125インチと0.625インチ差で標準長を設定しています。
そして5番は38.875インチと0.75インチ差と更に長くなっています。

HAYABUSA PC IRONももちろんクラブMOIマッチング専用設計ですから、5番もAWも標準長で組み上げた場合に同じクラブMOIになるように設計しています。

当然長くとも短くとも振り心地は同じになるので、振り心地の大小によって振りにくくなりヘッドスピードが落ちると言ったことはありません。
長くなるっても振りにくくならないと言うことは、長くなった分だけ純粋にヘッドスピードが速くなると言うことになりますから、長い番手になるにつれて飛ばなくなる(飛距離差が出にくい)ということは無くなります。
通常0.5インチ刻みのところ0.625インチになり、0.75インチになるということで、より一層飛距離の階段が作りやすくなるという設計です。

また、スイングバランスで作られたアイアンの場合、長くなるにつれて振りにくくなる上に、長くなるにつれてロフト差の間隔も少なくなることが多いです。
例えば7番アイアンでロフト30度だった場合、8番アイアンでは34度の4度ピッチだったものが、6番アイアンでは31度、5番アイアンでは下手したら29.5度とか・・・。

振りにくくなって0.5インチ分のヘッドスピードアップが望めないばかりで無く、ロフトピッチも4度から3度、2.5度とかになっていてはそりゃあ球は上がらないし、飛距離も出なくなります。

BoseIronFactoryはこうした「ロングアイアンは飛ばない」問題に関して、20年近くクラブMOIマッチングを通じて取り組んでいますから、こうして根本的な部分から解決していきます。



HAYABUSA PC IRONの先行予約はBoseIronFactoryのWebShopからお願いします。



もう少しで初回製造分に届いてしまいますので、検討されている方はお早めにお願い致します。

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