この4種類の0番アイアンは全てBoseIronFactoryのオリジナルヘッドです。
5番アイアンでさえまともに打てないのに、ロングアイアン、しかも0番アイアンなんて打てるわけが無いと多くの方はお考えになると思いますが、BoseIronFactoryのアイアンのラインアップの中でも単品アイアンとしては一番の売れ筋商品となっています。
これらの0番はウッド用シャフト専用設計ですので、クラブとしてはとても高価でドライバー用のシャフトを挿した0番アイアンになると、6万円を超える価格設定のものもあります。
ただ、シャフトの定価だけで5万円近いシャフトもありますので、高価とは言えどもボッタクリとは考えていません。
リーズナブルなシャフトでは、組み上げた価格で3万円台のものもありますし。
長期に渡って売れ筋商品として販売させていただいている背景には、これらの0番アイアンが実際に多くの方が打てる0番アイアンだと言うことが上げられると考えています。
しかしながら先にも書いたように「0番アイアンなんてまともに打てるはずもない」のに、何故これらが実際に多くの方が打てる0番アイアンとなっているのか?
そこにはBoseIronFactoryのモノ作りの考え方が関係していると考えています。
それは、
ゴルフクラブに限らず、新しいモノを作りたいと思った場合には、既存の常識に囚われることなく一旦極端な所まで追い込んで行く。
ということです。
例えば0番アイアンの開発にあたっては、ある大手メーカーさんのご協力を頂き、ロフト6度で48インチという怪物アイアンを作りました。
そして実際に多くの方に打って頂いて検証を重ね、少しづつ改良を重ねて今の形があります。
さすがに6度で48インチの怪物アイアンはクラブMOIも異常に高く、ほとんどの方が打ちこなす事が出来ずに、全く使い物にはなりませんでしたが、一旦極端な形で作ってみてから少しづつ改良していくことで多くの方が打ちこなせるスペックや形状が見えてきます。
この事は0番アイアンに限らず、HAYABUSAウェッジ、HAYABUSA Ironなどでも同じ事が言えまして、HAYABUSA Ironではあのバックフェースの窪みが真ん中には無くトゥ側を極端に削るという形でした。 トゥ側に極端に寄せたことで、ヒール側のミスヒットには強いけれどトゥ側にミスヒットした場合フェースが開きすぎてバナナスライスになることが分かります。 そこでトゥ側とヒール側に重量を持たせる事に着目した訳ですが、中央に窪みを作ることを決めてから今度は窪みの深さも一旦極端な所に設定し、少しづつ変えていくことで打感や操作性、ミスヒットへの寛容性などを検証していく。
そうして各番手とも最良のバランスが取れる所を模索していってようやく最終試作のプロトタイプが出来、プロトタイプの検証を経て完成品となるわけです。
このように書くと窪みがメインのアイアンと思われてしまうでしょうが、実はHAYABUSA Ironの場合はミスヒットへの寛容性はあくまでもプラスアルファの部分であり、HAYABUSAウェッジから継承するソール形状が一番のウリだと考えています。
HAYABUSAウェッジでそのソール形状は理論的にも性能的にも実証されたと考えていましたが、このソール形状をロフトの立ったアイアンにそのまま取り入れたとしてもHAYABUSAウェッジで実現できたヌケの良さをアイアンで実現することは不可能です。 ロフトが立っている分、同じソール形状であってもフェースに芝が当たる面積が広くなり、当たった芝が抵抗として感じるのです。 この事はアイアンというロフトがウェッジよりも立っている構造からして完全に解決することは不可能です。
ですが、トレードオフとしてウェッジとは違う画期的な性能を実現する事が出来ました。
それがフライヤーがほぼ無いという性能です。
上級者やプロ、そしてハードヒッターだけがフライヤーするということで皆さんは認識をされているかもしれませんが、実はヘッドスピードがあまり速くないゴルファーでもフライヤーは起こります。
フライヤー自体はボールとフェースの間に芝を噛むことでスピン量が減るということですので、ヘッドスピードの速い人はスピン量が減り防球になって遠くまで飛ぶフライヤーとなり、ヘッドスピードの速くない人はスピン量が減りすぎて失速するフライヤーとなるからです。
HAYABUSA Ironのソール形状はHAYABUSAウェッジのソール形状をアイアン向けにブラッシュアップしたソール形状になっていて、アイアンとしての抜けの良さを最大限に確保しつつ(それでもウェッジの抜けの良さには敵わない)、芝をリーディングエッジで切らないことで、フェースとボールの間に入り込む芝を出来る限り減らしています。
これも一旦極端なところまでやってみて、そこから少しづつ戻していくという手法でなければ実現し得なかったこと。
こうして常識を一回疑って常識の先の極端なところまでやってみると、多くのことが常識とされている部分の先までは問題ない事が分かってきます。
もちろんそこにはひとつの点だけ(例えば7番アイアンの重量で0番のロフトでは打てません)でなく、様々な部分を考慮に入れた上で1点だけ極端に振ってみるという手法でないといけませんが、クラブMOIを含む多くの部分を一定にすることでその部分の限界点がどこにあるのかが分かってきます。
なお、性能に直接関係の無いロフト表示やロゴなどはクラブの道具としての必要事項というよりは使いやすさや所有感、満足感といった部分なので、こうしたデザイン関連のことは一番最後に行います。
その点も通常の開発などとは違うところですが、デザインのためのデザインでなくとも、機能を一番に考えていくと、自ずとデザイン的にも秀逸なものになってくると考えています。 機能美、という言葉はそうした部分が美しさとしてにじみ出てきた部分なのではないかと考えています。
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