多くの方々からご期待頂いているHAYABUSA PC IRONですが、現在開発の終盤を迎えておりますが、発売自体は2025年になると思われます。

こちらでは開発意図、設計意図からお話して、実際にどのようにその意図をHAYABUSA PC IRONに反映させていったかをお話していこうと思います。

先ずはHAYABUSA PC IRONの要であるポケットキャビティの事からお話していきましょう。

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軟鉄鍛造アイアンで深く広いポケットを作るためには、通常ポケット部分をヘッドのボディとは別に作ります。
別に作ったキャビティ部分とボディと溶接して貼り合わせるのが通常です。

鋳造でしたら溶けた鉄を流し込んで行くため深く広いポケットを作る事が可能ですが、鍛造の場合、高温に熱した鉄を叩いて成型するため、深くて広いポケットを作るためには2ピース構造として溶接で貼り合わせることが必要でした。

溶接による貼り合わせのメリットとしては安価に深く広いポケットが出来ると言うメリットがありますが、一方でデメリットとしては溶接による加熱加工が鍛造本来の打感を損ねると言うデメリットがありました。

一般的に軟鉄鍛造のメリットとしては、
○やわらかい打感で、心地よい感触が得られる
○スピン量が増し、グリーンで止まりやすい
○ロフト角やライ角を自分のスイングに合わせて調整できる
○芯を喰ったショットでも余計な振動が発生しにくい
と言ったことが上げられますが、軟鉄鍛造で一番最初に考えが浮かぶのはやはり柔らかな打感によってもたらされる芯に当たった時の気持ちよさでしょう。

大きなメリットである打感の良さをスポイルしてしまう溶接をする位なら、鋳造で作ったほうが複雑な形状も作れますから。


逆に言えば浅く狭いポケットだったら削り出し(CNCミルド)で後から加工して作る事は可能なのですが、浅く狭いポケットでしたらポケットの効果もそれほど見込めません。

HAYABUSA PC IRONのポケットは番手別に深さも広さも設計してありますが、非常に深く広いポケットとなっています。
溶接による2ピース構造では無く、CNCミルドによる機械加工で掘っているのですが、これには非常に確かな技術とノウハウが必要となります。
また、1ピース構造となる事で深く広いポケットを彫り込んでいくには時間がかかるので、コストもかかります。

そのため、2ピース構造がほとんどを占めるのですが、BoseIronFactoryとしてはコストよりも軟鉄鍛造の打感やその他のメリットが勝ると考えているので、HAYABUSA PC IRONに関しては敢えて1ピース構造のポケットを選択しました。