さて、いよいよ実打データを元にクラブMOIマッチングの効果の検証を行っていきます。

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画像が細かくて申し訳ありません。

データをを紐解く事で、少しでもクラブMOIマッチングに対しての理解を深めて頂ければと思います。

クラブMOIマッチングでは長い番手と基準番手、短い番手で統一された振り心地にする事で、基準番手と同じような位置でボールインパクトを迎えると言うチューニング方法です。

結果、長い番手では振り遅れが抑制され、短い番手では振りすぎを防ぐ事となり、どの番手でも基本的には基準番手と同じ球筋となります。

まずはクラブMOIマッチングの理論に関して勉強していきましょう。

スイングバランスで作られたクラブの場合、基本的に長い番手になるほどにクラブMOI値が高くなっていきます。

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岩崎プロのMOIマッチング前の状態。
ご自身で調整していないので、分かりやすいクラブMOIのフローです。


長い番手になるほどクラブMOIが高くなっていくのがこの表からもお分かり頂けると思います。
クラブMOIが高くなる=振るのに必要なチカラが多く必要となる。と言うことですから、高いMOI値に対応出来るチカラが出せない場合、振り遅れが生じます。
他方、短い番手では振りやすく(振るのにチカラが要らない)なるため、振りすぎてしまいます。
結果、長い番手では打ち出し角が増加、短い番手では打ち出し角が減少し、結果ロフトなり
(ロフト通りではありません)の打ち出し角となります。

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長い番手では振り遅れるため1の位置で当たり、
短い番手では振りすぎる事から3の位置で当たります。

では、ここで実際の球筋がどうなっているのかをデータを見て検証していきましょう。

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実際に打って集めたデータです。

表を見ていくと3番アイアンのスイングバランスでは打ち出し角が12.62度、クラブMOIマッチングしたアイアンでは打ち出し角が16.05度となっています。
対して短い番手のPWでは、MOIマッチングのPWが29.40度、スイングバランスのPWが32.72度となっています。

長い番手で球が上がらず、短い番手では球は上がりすぎない。
クラブMOIの理論通りで一安心です。

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基準番手(得意番手)の場合は2の位置で当たります。

ここでMOIマッチングに???と思っている方々は、32.72度と言う打ち出し角を見てショートアイアンで3の位置で当たってない証拠と言う方もいるかと思います。
ピッチングウェッジのロフトが46度なので、13.28度低い。
3の位置で当たったのであれば打ち出し角が50度とかになっても良いはず。
と言うことです。
その論理で言うと3番アイアンのロフトは20度ですので、これもおかしい事となりますが・・・。

この図はあくまでも説明のためのものであり、分かりやすいように相当誇張して書いています。
実際にはクラブの入射角がダウンブローでボールコンタクトを迎えるので、1~3はもっと図に向かって左の位置で当たります。
イメージで言うと、3番が実際には1の位置というイメージで良いでしょう。
ですのでスイングバランスの3番アイアンの場合は1の位置では無く、0若しくは-1の位置でボールコンタクトを迎えるとお考えください。
なので、3番アイアンでは打ち出し角が12.62度から16.05度まで高くなると言うことです。
逆にクラブMOIの効果に疑問をいだいている人に質問するならば、3番アイアンの打ち出し角が高くなり、PWの打ち出し角が低くなる理由をお聞きしたいものです。

話は若干逸れますが、実際のインパクトゾーンというのはもの凄く短いんですね。
インパクトゾーンを高速カメラで見ると、5cm位しかありません。
また、フェースのローテーションを含むビジネスゾーンは長くても20cm程度です。スイングアークの大きい人でもたった20cmの間にボール軌道に繋がる全ての事柄は起こっていると言うことになります。

次に方向性に影響を与えるフェースの開閉に関してです。


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こちらの図も分かりやすいように誇張して書いています。

クラブMOIが高いと振り遅れる、クラブMOIが低いと振りすぎると言うのがクラブMOIマッチング理論の本旨ですから、長い番手ではCの位置で当たり、短い番手ではAの位置で当たります。

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ここでは左右距離(左右へのばらつき)、打ち出し方向(右がプラス左がマイナス)、フェース角(右がプラス左がマイナス)を見ていきます。

スイングバランスの3番アイアンの左右へのばらつきは8.16ですから150ヤード先で右に8.16ヤード
対してクラブMOIマッチングでは、156ヤード先で-1.64なので左に1.64ヤードの所がばらつきの中心部分となります。

一方でPWはスイングバランスが105.8ヤード先で左に6.25ヤード、クラブMOIマッチングでは107.3ヤード先で左に0.72ヤードという事です。

また、出玉の方向を見ると、スイングバランスの3番アイアンが3.58度右方向に出ているのに対して左方向に-1.64度
スイングバランスのフェース角は右方向に4.02度に対して左方向に-0.16度となっています。

PWではバランスの方向角(出玉の方向)が-2.40度になっているのに対して-0.72度、フェース角はどちらもプラス方向ですが1.42度と1.26度となっています。

ここもフェース角以外は理論通りの結果が出ています。

フェース角に関しては理論と逆の結果となっていますので、今後検証を進めご報告しますね。
(ぶっちゃけ全部理論通りだったらやらせなんじゃ無いかと疑われるかと思っていたので、実はフェース角だけ違っていてちょっと安心というか、信じて頂けるかなぁと思っていたりします(笑))

少しばかり長くなりましたので、次に続きます。