
クラブMOIマッチング検証の2回目です。
前回は球の高さや方向と言った事をお話しましたが、今回はそれ以外の部分を見ていく事とします。
ボールの当たる位置がゴルファーひとりひとりにとって最適化される事で産まれるメリットは球の上がりと方向性だけではありません。
注目して頂きたいのが、右に書いてあるクラブ毎のヘッドスピードです。
3番アイアンでクラブMOIの場合が35.27m/sで、スイングバランスの場合が34.56m/sとなっています。
スイングバランスだとMOI値が高く振りにくいクラブだったのに対して、クラブMOIマッチングで組み上げると7番アイアンと同じ振りやすさになります。
つまり、長さが長くなった分キチンとヘッドスピードが上昇していると言うことがデータ上でも見てとれる訳です。
一方でスイングバランスで作ったPWはクラブMOIが低く、振るのにチカラがより少なくて済みます。
PW用にご自身で振るチカラ加減をアジャスト出来て居なければ振りすぎてヘッドスピードは上がります。
クラブMOIで組み上げたクラブの場合、振りすぎによるヘッドスピードの増加は理論上発生せず、長さなりのヘッドスピードとなります。
表ではクラブMOIで組んだPWのヘッドスピードが32.64m/sなのに対して、スイングバランスのPWのヘッドスピードは32.51m/s。
少しではありますが、振るのにチカラが不要な分、スイングバランスで組んだPWのほうがヘッドスピードとしては速くなっています。
ここもクラブMOIマッチングの理論通りの結果と言えましょう。
次に飛距離のデータを見ていきます。
3番アイアンではキャリー・総飛距離ともかなり伸びているのがお分かりになると思います(131.5-142.7、149.6-156.7)。
この部分も理論通りなのですが、注目して頂きたいのはキャリーとランでしょう。
スイングバランスが18.1ヤードのランであるのに対して、クラブMOIでは14ヤードのランとなっており、総飛距離が伸びているにもかかわらず、ランは4.1ヤード短くなっています。
この部分は主に打ち出し角が12.62度から16.05度に上がった点が寄与していと思われますが、バックスピン量が3016回転から3910回転に上がっている事もランが少なくなる要因と考えられます。
打ち出し角が低く球が上がらず、且つバックスピンの少ない棒球となる事でランが伸びたと考えるのが妥当ではないかと考えています。
総飛距離で言うと149.6ヤードから156.7ヤードと伸びていますし、アイアンは飛距離だけを求めるクラブではありませんので、ランが出過ぎる事はあまり良いとも思いません。
飛距離が伸びているにも関わらず、グリーンでしっかり止る球になるのですから、ロングアイアンではクラブMOIマッチングはほぼメリットだけとも言えるでしょう。
次にPWではどちらの方が飛距離が出ているかと言うと、キャリー、総飛距離のどちらを見てもクラブMOIマッチングのPWのほうが飛んでいます。
正直PWではクラブMOIマッチングのほうが振りにくくなる分、飛距離は出ない(スイングバランスのほうが飛ぶ)と思っていたので、飛距離に関しては予想外でした。
ですが、よくよく考えていくと、フェースが閉じた状態でボールヒットするとミート率(スマッシュファクター)は低下します。
スイングバランスのほうがボールスピード(ボール初速)が若干ですが低下している事から見てもこすり球となってしまったと考えるのが妥当かと思います。
サイドスピン量を見るとフック回転の-216回転から若干のスライス回転である62回転まで減少していますから、左への擦り球となっていないことが分かります。
ですが、おそらくスマッシュファクターより打ち出し角が飛距離が伸びている事には大きな影響を与えているものと思われます。
PWの打ち出し角を見ていくと、スイングバランスで33.15度であったものが、クラブMOIマッチングでは29.40度まで、3度以上低くなっています。
打ち出し角がより適正値に近づいた事で、飛距離が伸びているのでは無いかと考えています。
ここまででスイングバランスとクラブMOIによる球筋やボールコンタクトの状態が変わってきている事がお分かりになったかと思います。
私自身も理論として皆様にご説明していた事が、こうした形で実証出来たことを嬉しく思いますし、データ取りやこうして記事としていく事で新たな発見があり、検証して良かったと考えています。
今日はここまで。
明日はスイングバランスとクラブMOIのまとめと、今日まで触れてこなかった7番アイアンで変化が起きている原因について探っていきます。
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。