ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 クラブMOIマッチングを中心とした理想の工房を北海道に作るまでの模様、そしてクラブMOIマッチングの今とこれからを中心に様々なことに顔を突っ込んでいきます(^^;; なお、純はもしかしたら出てくるかもしれませんが、蛍や五郎さんは出てきませんので、念のため・・・。

カテゴリ: ゴルフの常識の非常識

ワンレングスアイアンのデメリットはクラブが長く?(ロングアイアンに)なるに連れて飛距離が伸びず飛ばなくなる事です。ボールも上がらず良くてもライナー性の当たりになり、悪いと全く球が上がらずにゴロになる事もあります。

デシャンボーのようにコンスタントにドラコンのトッププロ並みの60m/s程度のヘッドスピードが出せるのであればキチンとロフトなりの弾道で飛ぶので問題はありません。

ですが、ヘッドスピードが40台の日本人では、ロングアイアンになるに連れて飛ばなくなります。

現時点でデシャンボーにクラブ提供をしているAvodaのサイトにも下記のように書いてあります。

Traditional variable length sets pose challenges for achieving consistent ball striking due to the unique setup and swing required for each club. On the other hand, same-length irons address consistency issues but may introduce challenges for players with slower clubhead speeds.」
これを日本語訳すると、
「従来の可変長セットは、各クラブに固有のセットアップとスイングが必要なため、一貫したボールストライクを実現することが困難になります。一方、同じ長さのアイアンは一貫性の問題に対処しますが、クラブヘッドのスピードが遅いプレーヤーには課題をもたらす可能性があります。」

と言うことですが、「クラブヘッドのスピードが遅いプレーヤーには課題をもたらす可能性があります。」という部分が「ヘッドスピードが速くないとロングアイアンで飛ばなくなる」と言うことですね。

デシャンボーがワンレングスを取り入れる前の2014年、BoseIronFactoryは既にワンレングスアイアンのテストクラブを作り、多くの人に打ってもらって検証をして来ました。

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今でもワンレングスアイアンの事を書いた記事は購読数でトップ記事となっていますので、お読みになった方も多いと思いますが、リンクを貼っておきますので、読んでいない方は先にご覧ください。


ワンレングスアイアンにするメリットは「各クラブに固有のセットアップとスイングが必要」無くなると言うことですが、「固有のスイングが必要になる」と言う部分はクラブMOIマッチングで解決出来ます。
ワンレングスアイアンのヘッド重量は全て同じ重量ですので、シャフトも同じ長さにした場合、クラブMOIも同じになります。
一方で私達のクラブMOIマッチングでは、シャフト長を変えていってもクラブMOIは同じにしていくので、固有のスイング自体が必要無くなり、全て同じスイングでOK。

しかも、ロングアイアンになるにつれて飛ばなくなると言うのはヘッドスピードが遅いと言うのがその原因ですので、シャフトを長くする事で解決出来ます。
すなわち、スイングも変えること無くヘッドスピードも長くなるに連れ上がりますので、ワンレングスアイアンで問題となっていた部分も可変長クラブ(普通の0.5インチ刻み)のクラブで問題となっていた部分も解決するのがクラブMOIマッチングです。

なお、クラブMOIマッチングで唯一解決出来ないのは(長さが変わるので)固有のセットアップが必要になる。と言う部分です。

ですが、セットアップに関してもボールを置く位置が身体から0.5インチ分遠くなると言うだけで、長い番手だから左足よりにするとか、短い番手だからボールを右足よりに置くといった事はほとんど必要無くなります。

ボールを置く位置で球の当たり具合を調整するのが、クラブMOIマッチング以外での考え方ですが、クラブMOIマッチングを行えばボールの当たり具合はクラブMOIを統一する事で自動的に統一されていくので、ボールを置く位置はクラブ長の差分0.5インチ分だけで良いのです。


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キャビティが優しい理由は、バックにキャビティ(穴・へこみ)を作る事でその分の重量をフェースの周囲に配置したり、フェース面を広くする事が出来るからです。

このことをキチンと理解した上で設計や開発をしていかないと、キャビティでもマッスルバック以上に難しいアイアンになる事もありますし、逆にマッスルバックを基本としながらそこいらのキャビティ以上に優しいアイアンを作る事も可能です。

極端な例を上げるならば、ポケットキャビティでも零式よりも難しいアイアンを作る事も不可能ではありません。
まぁ、不可能ではないと言ってもポケットキャビティで零式より難しいアイアン作る意味が無いので作りませんけれどね(^^;;

零式

BoseIronFactoryで行っているのはこれとは逆で「難しく見えるけれど、実はキャビティ以上に優しい」アイアンです。

まずは優しいアイアンを作る上で、優しいの定義を今一度考えて行きましょう。

優しいと言うことは、ミスヒットに対して寛容であることを指すと思うのですが、それに関して異論のある方はいないと思います。

次にミスヒットに寛容であると言うことですが、ミスヒットとは?と言うこと、寛容とは?と言うこともキチンと理解しないと意味はありませんよね?

ミスヒットとは、
(1)打点に上下左右いずれか(若しくは2つ)のばらつきがある事
これにはダフりやトップ、シャンクも含みます。

(2)フェース向きが開いて当たったり閉じて当たったりする事

の2点がミスヒットの2大原因と言えるでしょう。


誠に申し訳無いのですが、(2)のフェースの開閉に関してはアイアンの設計ではいかんともしがたく、効果のある設計は出来ません。BoseIronFactoryだけでは無く大手メーカーでもそうです。
(でもクラブMOIマッチングではこの点も改善出来ますのでご安心ください)


次に「寛容とは?」という点ですが、優しいと言い換えても問題無いので、(1)のミスヒットがあっても「飛距離が極端に落ちる事無く、方向性もそれほど害されない」のが優しいと言うことでしょう。


では優しいアイアン、寛容なアイアンにするには何が必要かと言うと、

1.左右のミスヒットに強くするためにフェース左右への重量配分が必要である。
2.上下のミスヒットに強くするためにフェース上下への重量配分が必要である。

と言うことになります。
ここでクラブ設計家として注意している事は、1.の比率を2の比率よりも多く取らないといけないと言う事。
何故かと言うと、まずはフェース面を想像してください。

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アイアンのフェースは左右の長さに比べ、上下の高さは短いです。
ミスヒットするとしても左右のミスヒットはかなり広い範囲となりますが、上下のミスヒットはそれほど広範囲では無く、上の方で当たるとしたらダフりとなり、下の方で当たるとしたらトップとなります。
このように当たる範囲が比較すると狭い事から上下のミスヒットに関してはそれほど多くの比率とするべきものではありません。
ちなみにダフりに関してはソール形状である程度対応出来るので、もちろんHAYABUSA Ironなどではその対策を講じています。(このことは別記事で書きます)

なお、ミスヒットとは直接関係はありませんが、低重心のほうが球が上がりやすいことは確かなので、低重心にするための設計もしています。
HAYABUSAIronのトップラインが極薄なのはそのためで、見た目難しく見えますが、極薄にする事で重心を下げる役割があります。
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極薄トップラインで構えた時に難しいと思えるHAYABUSA Ironですが、
薄くする事で逆に球が上がりやすくなると言う”優しい”設計です。

これらの事により、優しいアイアンに一番必要な設計は左右へのミスヒットに寛容であると言うことになるのですが、実現するために一番確実なのがフェース左右に重量配分をすると言うことです。

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フェース左右に重量を配分する事で、当たり負けする事無くフェースが開いたり閉じたりして当たらなければ真っ直ぐに飛ぶと言うことです。
HAYABUSAIronのフェース中央の窪みは7番アイアンで約30gあります。
浮いた30gを15gずつフェース左右の下部に配分しています。

一般的なフルキャビティアイアンの場合では45g~60g程度の重量がへこみにより浮きますので、それを周囲に配分したりフェース面を大きくするために使っています。

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上がHAYABUSA Ironの7番、
下がJCM-03Cavityの7番です。

JCM-03CavityとHAYABUSA Ironの同じ7番を見るとキャビティのJCM-03のほうが一回りフェースが大きいです。
実はフェースを大きくするのに一番重量が必要で、JCM-03Cavityではキャビティにして浮いた重量が52gであるのに対して、37gはフェースを広く大きくするために使っています。

つまりフルキャビティのJCM-03Cavityでもフェースの周囲に配分できる重量は15gしか無く、且つ分かりやすい低重心にするためフェース中央の下部に半分以上使っています。

HAYABUSA Ironが通常のキャビティ並みに優しいと私も常々話していましたが、こと左右の重量配分だけを例に取ると、通常のキャビティ以上に左右のミスヒットには強いアイアンなんです。

ちなみにJCM-03CavityとHAYABUSA Iron、どっちが優しいの?という疑問もありますが、JCM-03Cavityはフェースも一回り大きいので、一概にどちらとは言えません。
どちらがより皆様に合うかはご相談くだされば、お答え出来ると思いますので、お気軽にご相談ください。

次回はHAYABUSA Ironの他の設計意図に関してお話します。

2017年に書いた記事ですが、大切な検証をしていますので、再掲しますね。



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0.5度では写真でもほとんど見分けがつかないので、1度にしてみました。
ライ角が1度変わると25インチ(63.5cm)先で0.2インチ(5.08mm)変わっています。
1cmあたり0.08cm(0.8mm)変わることになりますから、1mで8mm、100m(109ヤード)で800mm(80cm)変わることとなります。
これが0.5度ですと半分になるので、ライ角が0.5度ズレていると100m(109ヤード)で40cmズレることになります。

では、5度!!ライ角を変えたものをご覧いただきます。


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ここまで変えるとさすがに球筋に影響が無いとは言えませんね。



ではファルコンが実際に使っている18度の2番アイアンでは・・・。


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ロフト18度の2番アイアンで5度ライ角を変えてもファルコンの腕でしたら全く問題なさそうです。
まぁ、5度も変えるとトゥが当たったりヒールだけが当たったりしてフェース方向が変わる可能性が高いので、ここまでズラす意味はありませんが・・・。


トーナメントを戦うプロですら、1度や2度のスイングのズレはあります。





こうして実際にズレるのですからライ角が大切なのは間違いありませんが、ほぼほぼフローしているライ角でしたらそれほど神経質になる必要は無いのかもしれません。

実際MOIマッチングをやろうとしている皆さんの中にはライ角調整をしている方もいらっしゃると思いますが、ライ角がきっちり合っていてもロングアイアンでは右に行き、ショートアイアンでは引っかけるのではないでしょうか?

だとすると、ライ角が方向性を決めると言うゴルフ業界の常識はあなたには当てはまらないのかも・・・。



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さんはアイアンやウェッジを買う時に試打をされる方も多いと思うんですが、その試打って本当に試す事になっているのでしょうか?

車を買う時は試乗する方も多いですし、試乗する時は自分が運転する公道での試乗ですよね?
一方でゴルフクラブを買うときに試打するのは、販売店の鳥かごだったりゴルフ練習場だったり・・・。
ゴルフ練習場2

どちらも実際のゴルフ場とは全く違う環境で、天然の芝の上では無く、人工芝のマットの上です。


ゴルフ練習場
一般的な練習場の人工芝マット


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こちらはBoseIronFactoryの芝(鬼ラフです)

もう全然違うじゃ無いですか?
ラフ&ふぁうぇい
こちらは某ゴルフ場のフェアウェイとラフの切り返し部分。

これだけライの違う所で打って果たして本当に試す(試打)ことになるのか?と思いませんか。

芝の上から練習できる練習場も少ないですし、ゴルフ場で試打会を開催すると言った事も難しいので、現実的ではありません。

ですが、ゴルフは芝の上でするスポーツ。練習場ですと傾斜も無いですし、ボールが置かれているライの状態も全く違います。

アイアン・ウェッジの試打をする際は、試打クラブを数日借りてコースで試打するのが良いですね(^^


※BoseIronFactoryのクラブはどれも芝の上からのテストを繰り返し開発しています。
BoseIronFactoryのクラブの良さは人工芝では無く、天然の芝の上で最高のパフォーマンスを出せるよう設計していますので、是非芝の上で試してみてください。

一時期、発泡剤チューンと言う言葉が流行って、多くの工房で発泡剤の充填を行っていました。

当時は「発泡剤チューン」と言う事で、消音効果だけで無く、飛距離アップも謳っている工房も見受けられました。

現在では発泡剤「チューン」という言いかたはあまり見なくなりましたが、それでも消音(特に高い音)の消音には使われているようです。

そうした消音効果を狙っての発泡剤充填には問題は無いのですが、ここで発泡剤そのものに関して、考えてみたいと思います。

まず、ゴルフクラブで使われる発泡剤はエクスパンセルというモノが使われることが多いですが、エクスパンセルはゴルフクラブ専用に作られたモノではなく、エクスパンセルの製造元である日本フィライトによると、

Expancelの効果
軽量化、嵩増し、ノンスリップ、意匠性や表面改質(艶消し、マット調仕上げ)、遮熱・断熱、結露防止、多孔質化、衝撃吸収、弾力性向上、揺変性、疎水性、収縮防止、空隙充填材、切削性・研磨性向上、剥離、音響改善、凍害防止など

となっています。
音響改善を太文字にしたのは消音効果の改善にメーカーも効果有りと謳っていることからです。

これらの効果を必要とするものに関してエクスパンセルは非常に効果的であり、ゴルフクラブの甲高い音を改善するには非常に効果的です。

メーカーのHPを見ると、こうした使用方法がありますと言う形で写真も載っているので、その写真をご覧頂きたいのですが、緩衝材(2枚目)や靴底などに広く使われています。


 Expancelマイクロスフェア―を使った熱可塑性樹脂の使用例

よく効果を見て頂くと「衝撃吸収」という効果もあり、靴底に使われるくらいですから、クッションとしての効果もかなりのものです。

これを読む皆さんはゴルフクラブに強い興味をお持ちですから、反発係数(COE)と言うワードもご存じでしょう。
反発係数ギリギリを狙ってゴルフクラブは開発されますが、発泡剤によって衝撃吸収したら反発力は弱くなります。

つまり、発泡剤の充填で”チューン”=飛距離が伸びる。と言う事は有り得ず、逆に衝撃吸収の効果から飛距離は落ちます。
但し、どのくらい落ちるかは知る由もありません(笑)
飛距離が落ちる事が分かっていれば、やらなければ良いだけで、わざわざ検証する必要はありませんから(笑)

もちろん飛距離ダウンしますので、BoseIronFactoryでは発泡剤の充填は行っておりません。
飛距離ダウンしても甲高い音を何とかしたいと言うお客様がいれば別ですが、ナイキの四角いドライバーを使っている方も今ではほぼ居ないでしょうし。

ゴルフクラブに於けるもうひとつの大切な要素である、方向性に関してはエクスパンセルの効果からは全く関係無いですけどね(^^;;


ゴルフ業界にはいろいろと不思議なことがたくさんありますが、ライ角の不思議もとても不思議です。

まず、間違いないのは、ライ角がアップライトなら左に、フラットなら右に行くということで、ライ角によって方向性が変わってくると言う事。

ある程度の知識のあるゴルファーなら、これは常識と言える事ですよね。

ライ角2度アップライト

ライ角適正
ライ角2度フラット
ミズノさん、画像お借りしましたm(__)m



じゃあいったいどこが不思議なのさ?と。

はい。そうなんです。
これだけでは何の不思議も無いですし、至極ごもっとも!!としか。


一方で未だに多くの方はドライバーで右に行って、ショートアイアンで左に引っかけると言うお悩みをお持ちな訳です。

ここで「あれ?何かおかしくね?」と思うのがファルコンなのです。

ドライバーで右に行くのならドライバーのライ角をアップライトにすれば解決し、ショートアイアンやウェッジで左に行くのならショートアイアンのライ角をフラットにすれば両方とも解決じゃないですか?

と言う事は、仮に7番アイアンでまっすぐ行くライ角が62度だったと仮定すると、8番で61.5度、9番で61度、PWで60.5度、ウェッジで60度とかで良いはず。

逆に6番で62.5度、5番で63度、UTで63.5~65度、FWで67~70度、DRでは73~75度とかにすれば全て解決するハズ。
あ、ここでFWやドラのライ角が0.5度刻みでなく大幅に変えているのは、ロフトが立つにつれライ角が方向性に与える影響は少なくなると言う事からです。
結構考えてるでしょ?(笑)



でも実際にはライ角のフローって、全くの逆じゃ無いですか?

不思議です。

ホント、不思議なのでどなたかヤフー知恵袋に聞いてみてください。

きっと数多くのシッタカ君がアタマを悩ませながら説明をしてくれると思います(←だからファルコンは性格悪いと言われるし、嫌われるんだよなぁ)。


では、何故逆のフローなのか?ファルコンなりに考えてみると・・・
いや、やっぱ止めておきます。

まずは皆さんご自身で考えてみてくださいね(^^;;

6298825_m

I#5I#6I#7I#8I#9PW
20.523.026.030.034.539.0

5番アイアンと6番アイアンのロフト差が2.5度、6~7が3度、7~8が4度、8~9以降は4.5度となっています。

ヘッド構造は基本同一で2.5度と4.5度という2倍近いロフト差があります。
そしてレングスは0.5インチきっかりと刻んでいます。

ほとんど5番は使わないという見込みからか、5番はオプションになっています。


ヘッド構造もロフト・ライ・重量以外に違いがなく、長さもロフトによる0.5インチ刻み、8~9番のロフト差が4.5度であるのに対して、5~6番のロフト差は2.5度。

アイアンセットは飛距離の内訳(飛距離の階段)が出来ることが最優先と(私個人は)考えていますが、果たしてこのアイアンはどういったマジックで飛距離の階段を出しているのでしょうか?




6298825_m






 
番手I#5I#6I#7I#8I#9PWAWGWSW
フェース素材/構造17-4 ステンレス / 次世代360フェースカップ
ボディ素材17-4 ステンレス(I#5-9)、高比重合金(PW-SW) / タングステン・インナーウェイト
クラブ長さ (インチ)38.538.037.537.036.536.035.535.535.5
ロフト角(°)20.523.026.030.034.539.044.049.055.0
ライ角(°)60.561.2562.062.563.063.564.064.064.0



7番で26度。

ウチのHAYABUSA Ironの5番と同じロフトです。
長さは0.5インチの違いなのでほぼ1番手分ですね。

スペック的に非常によく似ているので、実際の飛距離に関してもほぼ同じような形になります。

これをどう考えるかはゴルファー次第ですね・・・。

まず最初に、ライ角が適正でないと方向性に問題が起きることは否定しません。

ライ角適正
ライ角2度フラットライ角2度アップライト
















この図の通りです。


ginifab.com protractor 20211016002427

でも実際の2度ってこんなもんです。

なんか写真で上げたウェッジの写真おかしいなぁと思って実際に測ってみたら。

ginifab.com protractor 20211016001224

63度


ginifab.com protractor 20211016001404

53度

ちょっとぉ、ミズノさん、いくら何でも2度の事を10度変えた絵で説明するって、ちょっとやりすぎじゃないですかねぇ・・・。


確かに2度変わると方向性は最大5ヤードは変わりますが、1度だったら2.5ヤードですから、62度と64度で左右5ヤードの範囲内に収まれば、アマチュアには御の字どころの騒ぎではなく、もう完璧と言える程度の誤差では無いでしょうか?

まぁ、実際にそれ以上ブレるので、逆に言えばそこはライ角のせいじゃありませんね。

また、ライ角が適性であっても、ショートアイアンやウェッジは何故左に引っ掛けるのでしょうか?
ライ角が適正であってもロングアイアンはなぜ右に行くのでしょうか?

そのあたりをキチンと説明してもらわないと、ライ角だけで頭のいいゴルファーは納得しないですし、いつまで経ってもショートアイアンは引っ掛けて、ロングアイアンは右に行くという事を直せませんね・・・・。




ちなみに私は分かっているので、ご協力してもいいですよ(^^)v

ずっと更新せずにおりましたが、珍しく2日連続の更新です。


さて今回は皆さん気になされるヘッドスピードのことを例にとってお話ししましょう。

クラブを1インチ伸ばせば約1m/sヘッドスピードが伸びて、3~6ヤード飛距離が伸びるという神話があります。
このことは誰しも疑うことなく、まことしやかにお話されていますが、そこは百戦錬磨のゴルフ記者だったり評論家だったりしますから、「1インチ伸ばすと1m/sヘッドスピードが速くなると”言われています”から・・・」と皆さん他人のせいにしています。

これは実際にはほとんど伸びたためしがないからではないかと。

こうしたことに対して疑問を持つのがクラブMOI的思考の第一歩です。
実際に計算してみる。検証してみるというのがクラブMOI的思考の実践となります。

45インチのドライバーで1インチ伸ばした場合、その長さは45×25.4=1143mm→46×25.4=1168.4mmになります。

ヘッドスピードは周速度といって、回転運動における外周部の速度です。
同じ回転数で回転した場合、半径が大きくなれば周速度=ヘッドスピードも上がると言う事になります。
この点においては理論的整合性は取れていることになりますが、実際のところはどうかと言うと、これまた話が違ってきます。


ヘッドスピード40m/sの場合の回転数は、回転数 = 周速度40m/s ÷(直径2286mm × π)
ヘッドスピードが40m/sで45インチの半径とした場合、回転数は5.56975回転となります。

回転数を5.56975回転で固定した場合、半径が1143mmから1168.4mm(直径2336.8mm)となった場合の計算式は、周速度 = 直径2236.8mm × π × 回転数5.56975 となりますので、40.889m/sとなります。
1m/sまではいきませんが、0.9m/sなのでほぼ正しいといえますね。

と思われるでしょうが・・・・、実際にスイングする時ってクラブだけがクルクル回る訳でありません。
腕や身体全体も動いてこそのスイングとなるわけです。
体の回転まで入れたいところですが、ここは譲って腕までとしましょう。

私の肩から手首までの腕の長さが550mm位あります。
半径1143mmに550mmを足して、半径1693mm。
1693mmでヘッドスピード40m/sの場合、回転数は3.7603回転。クラブだけの回転数と違って、ずいぶんとゆっくりになりましたが、実際に動画を撮って検証してみると確かにその通りになります。
そうなると45インチから46インチになると1693mmに25.4mmを足して、1718.4mm×2=3436.8mmが直径となります。
その場合の周速度の計算は、周速度 = 直径3436.8mm × π × 回転数3.7603=40.6m/s
まだ四捨五入すれば1m/sになりますけれども、1インチにつき~ということですから、2インチ伸ばして47インチにしたとすると、直径が3487.6mmですから、2インチ伸ばしても41.2m/sにしかなりません。
ここまで来ると、いくらなんでも盛り過ぎと言わざるを得ません。

ですが、確かに元々の周速度=ヘッドスピードが速ければ、1インチ伸ばして1m/s上がる人もいます。計算上は45インチでのヘッドスピードがおおよそ70m/s以上ある人です(笑)
70m/sなんてスピードは決してなんちゃってのドラコンプロでは出せないヘッドスピードです。

そして、大切なのはこの計算はもちろん1インチ伸ばしても2インチ伸ばしてもクラブMOIが変わらないと言う前提となります。

おおよその計算値でありますが、平均的なドライバーもクラブMOIが2830kg-c㎡で、単純に1インチ伸ばすと、クラブMOIは2989.4kg-c㎡となり、160kg-c㎡近いクラブMOIが増大します。
アイアンの1番手で約10kg-c㎡の変化ですから16番手分のクラブMOIが増加することになります。

※アイアンの1インチが2番手分なのに対して、なぜ同じ1インチで16番手分ものクラブMOIが増大するのか?=5番アイアンでも38インチ標準で、ヘッド重量は7gピッチで軽くなっていきます。今回の場合はヘッド重量が同一で、元々45インチと5番アイアンよりも7インチ長い。クラブMOIは長さの2乗に比例して高くなりますから、2乗分高くなります。


2インチ伸ばすと3149kg-c㎡となりますから、それではよほどのゴリラでなければまともに降ることすら出来ずに右に飛んでいくしかないドライバーとなります。


クラブMOIが変われば振る事自体によりチカラが必要となりますから、2インチ長くなると相当ヘッド重量を軽く(計算上は23g程度)しないといけないでしょう。


このように単に”言われている”ということを信じて実践してしまうと、整合性が取れないばかりか、実際にもかえって振りにくくなるだけのドライバーが出来上がります。
本当に1インチで1m/s伸びるのであれば、ルール上48インチまでは許されているので、48インチのドライバばかりになっても良いはずですが、実際には48インチのドライバーはほぼ市販されていません。
このことは1インチ伸ばすと1m/sヘッドスピードが上がることの逆説的な証明とも言えます。

逆に言うと45インチのドライバーではなく、44.5インチにするだけでもクラブMOIは大幅に下がりますから、振りやすくなるので、ドライバーが右に行きがちな方は0.5インチカットするだけでもものすごく振り心地は良くなりますので、お勧め出来ますね(^^

もちろん、こうした振り心地を数値的に表し、可視化出来る、クラブMOIマッチングでしたら、もっとお薦めですが・・・(^^

ということで、今回は文字ばかりになってしまいましたが、ご容赦くださいませ。

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