ゴルフ「北の国から」

ゴルフトゥデイでの連載「ゴルフ〜北の国から〜」をしていたファルコンまつばらです。 プロや一般アマチュアのクラブMOIマッチングやクラブの設計・開発だけで無く、日本クラブMOIマッチング機構(JCMO)の会長でグランドマスター(最上位)として数多くのクラフトマンに対して指導・育成を行っています。 最近はnoteに書く事が多いのでこちらのブログはあまり更新をしておりませんのでご了承ください。 noteは https://note.com/falconmatsubara インスタはhttps://www.instagram.com/falcon_matsubara/ インスタは英語での発信が主です。

カテゴリ:MOIマッチング > MOI VS バランスの検証


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スイングバランスのクラブスペック
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クラブMOIマッチングのクラブスペック(ビフォー、アフター)

4回に分けて書いて来たスイングバランスとクラブMOIマッチングの検証もいよいよ大詰めです。

まずはこれまで触れてこなかった7番アイアンに関して、再度スイングバランスとクラブMOIマッチングでどういった変化があるか見ていきます。

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一般アマチュアの実打データ

3番やPWではクラブMOI値を統一する事で、様々なメリットが出てきた事は既に述べました。
ですがほとんどいじっていないはずの7番アイアンでもかなり劇的な変化が出ています。
総飛距離(127.1→135.7)、キャリー(119.6→123.6)、打ち出し角(22.30→22.55)ボールスピード(ボール初速、40.26→42.84)、バックスピン(4829→5215)、サイドスピン(右361→右256)、左右距離ブレ(2.60→0.90)、打ち出し(左右)方向(右1.46→左0.90)、フェース角(右向き3.48→右向き1.50)、ヘッドスピード(33.15→33.40)、ミート率(1.21→1.28)

全ての項目で良い方向に改善されています。
これはどういうことなのでしょうか?

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7番アイアン単独でのスペック比較

先ずスイングバランス検証用の7番アイアンとクラブMOIマッチング検証用の7番アイアンのスペックをもう一度見ていきます。

くどいようですが、同じヘッド、同じシャフト、同じグリップです。
変わっている部分は、
1.シャフト振動数=328.01と332.63
2.レングス=36.750と36.700
3.スイングバランス=D1.8とD0.5
4.総重量=442.3と443.7

5.クラブMOI値は、2649.6kg-cm²2630.3kg-cm²となっています。

1.のシャフト振動数は揃っていたほうが良いですが、DG-S200と言うあまり精度の高いとは言えないシャフトですし、振動数が4cpm程度変わっても飛距離や球の方向性に目に見える影響を与えるとは考えにくい。

2.レングスの変化は0.05インチ(1.27mm)ですので、変わっているけれどほぼ影響は無し。また、レングスに関しては1.27mmですが短くなっているので、飛距離が落ちる説明にはなっても飛距離がアップするのは説明出来ません。

3.のスイングバランスが変わっていると言う点に於いてはスイングバランスを推奨している方からの意見があればお聞かせください。
こちらで何か言うのもフェアでは無いと思いますので(笑)

4.総重量に関してですが、スイングバランスが下がっているのに総重量はクラブMOIのほうが重いです。
同じ7番でも2本のクラブは別のクラブを使っていますから、個体差によるもので、カウンターバランスを入れて居る訳でも無いので「DGの重量精度ってそんなもんだよね」と言う印象しかありませんが、重くなっているので、飛距離が落ちても良いはずなのですが・・・

そして・・・
クラブMOIは2649.6kg-cm²と2630.3kg-cm²で19.3kg-cm²の違いがあります。
同じ7番で一番変わっているのがクラブMOIであること、及び上記の変わった部分でさほど球に対する影響があるとは考えにくい事から、球が変わった原因に一番寄与しているのはクラブMOI値の違いによるモノだと考えるのが妥当と思われます。

一般的に1番手で10kg-cm²の差が出てきますので、クラブMOIマッチングの7番とスイングバランスの7番では5番と7番の差があるので、そう考えるとご納得頂けるかと思いますしね。

それを踏まえてもう一度見ていくと、
総飛距離(127.1→135.7)、キャリー(119.6→123.6)=キャリーを含め、打ち出し角以下が原因で伸びたと考えられます。

打ち出し角(22.30→22.55)=MOIマッチング理論通り。

ボールスピード(ボール初速、40.26→42.84)=ヘッドスピード及びボールコンタクトが適正に近づいたためボールスピードが上昇した。

バックスピン(4829→5215)=適正値に近づいた。

サイドスピン(右361→右256)=より適正値に近づいた。

左右距離ブレ(2.60→0.90)=MOIマッチング理論通り。

打ち出し(左右)方向(右1.46→左0.90)=MOIマッチング理論通り。

フェース角(右向き3.48→右向き1.50)=MOIマッチング理論通り。

ヘッドスピード(33.15→33.40)=MOIマッチング理論通り。

ミート率(1.21→1.28)=MOIマッチング理論通り。


全て理論通りになっています。
当然と言えば当然なのですが、個人的には7番アイアンの結果こそがクラブMOIマッチングの真価を表しているのではないかと考えています。

同じヘッド、同じシャフト、同じグリップで作られた、同じ7番アイアンで、実質違うのはクラブMOI値のみです。
クラブMOI値の違いだけでこれだけ実際の球筋が変わってくるのです。


さて、4回に訳で書いて来たスイングバランスとクラブMOIマッチングによる球筋やスイングへ与える影響の違いですが、今回で一旦終了となります。

この検証を公正に行っている事は当然の事ですが、それでもまだ信じられない方やファルコンが嘘をついているとかデータを改ざんしていると思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そのような事は一切無いのですが、無い事は証明のしようがありませんので、そうお思いの方はクラブMOIマッチングしなくとも結構です(笑)

クラブMOIマッチングのご用命はBoseIronFactory若しくはJCMO認定店にご用命ください。
認定店以外でもなんちゃってMOIをやっている所はありますが、そうしたところでなんちゃってMOIされたクラブが「使い物にならなくなった」とJCMO認定店に持ち込まれる事例が多発しています。
お客様は使い物にならなくするために工賃を払う事になり、ちゃんと効果のあるMOIマッチングの出来るJCMO認定店に再度MOIマッチング依頼を出して再度工賃を払うと言うことになります。
不要な工賃をなんちゃってMOIに使うより、キチンとしたJCMOの認定店でクラブMOIマッチングをする事を強くお勧めします。
(認定店以外でもキチンとしたクラブMOIマッチングが出来る所があるのかもしれませんが、確認のしようが無いので分かりませんから)

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一般アマチュアのデータ

クラブMOIマッチング検証の2回目です。
前回は球の高さや方向と言った事をお話しましたが、今回はそれ以外の部分を見ていく事とします。

ボールの当たる位置がゴルファーひとりひとりにとって最適化される事で産まれるメリットは球の上がりと方向性だけではありません。

注目して頂きたいのが、右に書いてあるクラブ毎のヘッドスピードです。
3番アイアンでクラブMOIの場合が35.27m/sで、スイングバランスの場合が34.56m/sとなっています。
スイングバランスだとMOI値が高く振りにくいクラブだったのに対して、クラブMOIマッチングで組み上げると7番アイアンと同じ振りやすさになります。
つまり、長さが長くなった分キチンとヘッドスピードが上昇していると言うことがデータ上でも見てとれる訳です。

一方でスイングバランスで作ったPWはクラブMOIが低く、振るのにチカラがより少なくて済みます。
PW用にご自身で振るチカラ加減をアジャスト出来て居なければ振りすぎてヘッドスピードは上がります。
クラブMOIで組み上げたクラブの場合、振りすぎによるヘッドスピードの増加は理論上発生せず、長さなりのヘッドスピードとなります。
表ではクラブMOIで組んだPWのヘッドスピードが32.64m/sなのに対して、スイングバランスのPWのヘッドスピードは32.51m/s
少しではありますが、振るのにチカラが不要な分、スイングバランスで組んだPWのほうがヘッドスピードとしては速くなっています。
ここもクラブMOIマッチングの理論通りの結果と言えましょう。

次に飛距離のデータを見ていきます。
3番アイアンではキャリー・総飛距離ともかなり伸びているのがお分かりになると思います(131.5-142.7、149.6-156.7)。
この部分も理論通りなのですが、注目して頂きたいのはキャリーとランでしょう。
スイングバランスが18.1ヤードのランであるのに対して、クラブMOIでは14ヤードのランとなっており、総飛距離が伸びているにもかかわらず、ランは4.1ヤード短くなっています。
この部分は主に打ち出し角が12.62度から16.05度に上がった点が寄与していと思われますが、バックスピン量が3016回転から3910回転に上がっている事もランが少なくなる要因と考えられます。

打ち出し角が低く球が上がらず、且つバックスピンの少ない棒球となる事でランが伸びたと考えるのが妥当ではないかと考えています。

総飛距離で言うと149.6ヤードから156.7ヤードと伸びていますし、アイアンは飛距離だけを求めるクラブではありませんので、ランが出過ぎる事はあまり良いとも思いません。
飛距離が伸びているにも関わらず、グリーンでしっかり止る球になるのですから、ロングアイアンではクラブMOIマッチングはほぼメリットだけとも言えるでしょう。

次にPWではどちらの方が飛距離が出ているかと言うと、キャリー、総飛距離のどちらを見てもクラブMOIマッチングのPWのほうが飛んでいます。
正直PWではクラブMOIマッチングのほうが振りにくくなる分、飛距離は出ない(スイングバランスのほうが飛ぶ)と思っていたので、飛距離に関しては予想外でした。
ですが、よくよく考えていくと、フェースが閉じた状態でボールヒットするとミート率(スマッシュファクター)は低下します。
スイングバランスのほうがボールスピード(ボール初速)が若干ですが低下している事から見てもこすり球となってしまったと考えるのが妥当かと思います。
サイドスピン量を見るとフック回転の-216回転から若干のスライス回転である62回転まで減少していますから、左への擦り球となっていないことが分かります。
ですが、おそらくスマッシュファクターより打ち出し角が飛距離が伸びている事には大きな影響を与えているものと思われます。
PWの打ち出し角を見ていくと、スイングバランスで33.15度であったものが、クラブMOIマッチングでは29.40度まで、3度以上低くなっています。
打ち出し角がより適正値に近づいた事で、飛距離が伸びているのでは無いかと考えています。

ここまででスイングバランスとクラブMOIによる球筋やボールコンタクトの状態が変わってきている事がお分かりになったかと思います。
私自身も理論として皆様にご説明していた事が、こうした形で実証出来たことを嬉しく思いますし、データ取りやこうして記事としていく事で新たな発見があり、検証して良かったと考えています。

今日はここまで。
明日はスイングバランスとクラブMOIのまとめと、今日まで触れてこなかった7番アイアンで変化が起きている原因について探っていきます。

いろいろとやるべきことが多く、ほぼほぼテンパっているファルコンです(^^;;


さて、クラブMOI VS スイングバランス検証 その5は元研修生の今田さん編です。


まずは元データです。

今田元研修生試打データ元





今田元研修生試打データ

はい。3Iの飛距離が大幅に落ちています。

ゴルフフェアの時に収集した情報の中には、「クラブMOIマッチングしたら飛距離が落ちた」と言うプロの声がありましたが、今田元研修生もこの状態ではクラブMOIマッチングなんて使い物にならないと言う印象をお持ちになるのではないかとおMOIます。

飛距離が落ちた原因として1番にあげられるのはクラブMOIが適性で無いこと。

試打クラブのクラブMOIを2630kg-c㎡と言う低めのMOIとしたことで、振り心地が軽すぎていい形でインパクトを迎えていません。

MOI合わせの3番、7番の打ち出し角がバランスより高く、バランスのPWの打ち出し角が高い。
→スイングバランスのPWのクラブMOIは2609kg-c㎡と低い。

これ、クラブMOI理論通りの結果になっていますので、至極当然のことです。

MOI説明2
高いクラブMOIでは振り遅れるので1の位置で。
低いクラブMOIでは振りすぎるので3の位置で、
それぞれインパクトを迎えます。

打ち出し角が適正以上に高くなることで、キャリーとランの両方で飛距離が落ちる訳です。

PWに関してはバランスクラブよりMOIクラブのほうが適正MOIに近いので飛距離・打ち出し角等々でいい結果が出ていますし。


方向性に関しては統一されたクラブMOIによって改善の傾向が見られます。
改善と言っても標準偏差ですから、左右にブレていたものが左に統一されたと言う形ですが(高いMOIの3番バランスで左右距離が右に左に振れていたものが、MOI3番で左に統一されているのが分かりやすい)。


このことから今田元研修生も適正MOI(2660~2670位と推測)になってくれば一層の球筋の安定が見られることとおMOIます。



次回はいよいよスーパーゴルファーサンシャイン今野一哉プロのデータを見ていきましょう。

 

東京出張の最大の目的。
それはタイトルにもある通り、クラブMOIとスイングバランスの検証を行うことでした。

ゴルフダイジェストなどでもお馴染みの”サンシャイン(蝶ネクタイ)”今野一哉プロのご協力を得て、五反田ゴルフ倶楽部をお借りして検証を行いました。

検証には公正を期すため、同じツアーステージX-Bladeを使用し、試打する方にはどちらがMOIマッチング済みのセットか分からない方法にて行いました。




検証用のアイアンセットは以下の通り。

使用クラブ:ツアーステージX-Blade 3-PW(8本) 7番と8番の中間であるMOI値2625kg-cm2でMOIマッチングしたセットとグリップ交換したのみのセットの2セットを使用。

使用番手:3番・7番・PWの3本を使用 

シャフト:DG-S200

グリップ:ツアーベルベットラバー60R



検証方法は以下の通り。

試打者:ヘヴィメタさん(一般アマチュア)、酒井プロ、今田元研修生、今野一哉プロ

試打方法:クラブMOIマッチングされたクラブとスイングバランスのクラブの3番・7番・PWを各5球ずつ打ってもらう。

計測データ項目:飛距離、キャリー、打ち出し角度、ボールスピード、左右距離幅、方向角度、サイドスピン、バックスピン、フェース入射角度、ヘッドスピードの計10項目


注:プロ・元研修生によるシャンクなどの明確なミスショットはカウントから除外します。飛距離・方向性とも通常のショットと明らかに違い、平均値や編純偏差が大きく変わってくるため。


公正を期すため、どちらがクラブMOI済みのアイアンかは伏せています。
この検証の模様はFacebookでライブ配信し、現在は今野一哉プロのFacebookアカウント及びファルコンまつばらのFacebookアカウントにて誰でも見られる形にしていますので、気になる方はFacebookから御覧ください。



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酒井プロ


2017-04-02_00-03-35_529
データでの抽出が出来ないため、全てスクリーンショットからの手入力です(^^;;
サラリーマン時代は経営企画や経理部だったので手入力は慣れたものでしたが、さすがに現役から離れて随分と経つので思いの外時間がかかりました(笑)



この検証はこのブログに書いた後、JCMOのWebSiteでもまとめます。
長くなるとおMOIますが、非常に興味深い検証になっていますので、何卒お付き合いくださいますよう・・・。


 

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